日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンバー」の意味・わかりやすい解説
サンバー
さんばー
sambar
[学] Cervus unicolor
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目シカ科の動物。インド、スリランカ、東南アジア、台湾などに分布する大形のシカである。暗褐色で毛は粗く、雌雄ともに頸部(けいぶ)に長毛をもつ。分布域が広いため体格にも差があり、多くの亜種に分けられる。インド産のものがもっとも大きく、体高1.2~1.5メートル、体重150~315キログラムに達する。角(つの)は三つに分枝し、長さ1.28メートルに及ぶものがある。群れをなして湿地帯の林、森林にすみ、日中は木陰に休み、夕暮れから夜間に草や果実などを採食する。スイロク(水鹿)という名もあるように、水を好み泥浴もよく行う。そのためか、遠方からみるとほとんど黒色にみえることがある。妊娠期間は8~9か月で、1産1子。寿命20年である。ジャワ島などのルサジカや、フィリピン産のマリアナジカを亜種に含める説と別種とする説がある。
[増井光子]