長野県南部,下伊那郡の村。人口1160(2010)。天竜川の支流小渋川の上流域,赤石山脈と伊那山地の間に位置し,東は静岡県に接する。国道152号線が縦断する小渋川と支流の鹿塩川が合流する落合を境に,北の鹿塩地区と南の大河原地区に分かれる。ほぼ全域が山林・原野で,製材業が盛んである。農業は米作や養蚕を主体に畜産や野菜栽培も行われる。1961年6月の集中豪雨による大被害,さらに64年小渋川総合開発のダム建設により,村民の大規模な移住が行われ,人口は急減した。南東端に赤石岳がそびえ,東部山岳地帯は南アルプス国立公園に属する。鹿塩温泉(強食塩泉,16℃),小渋湯温泉(単純硫化水素泉,27℃)や重要文化財の福徳寺本堂,松下家住宅などがある。大鹿歌舞伎は県無形民俗文化財。
執筆者:萩原 毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
長野県南部、下伊那郡(しもいなぐん)にある村。赤石(あかいし)山脈の西麓(せいろく)を占める隔絶山村。国道152号が走る。村の中央を中央構造線が縦断し、東西を赤石山脈と伊那山地に挟まれ、南北方向の狭長な鹿塩(かしお)、小渋(こしぶ)川沿いの谷に集落が散在する。南北朝時代の動乱期に南朝のため活躍した宗良親王(むねながしんのう)の在所の跡や墓がある。また鎌倉時代の福徳寺本堂(ふくとくじほんどう)(国指定重要文化財)などがある。このほか、明治時代に製塩をした鹿塩温泉(強食塩泉)や小渋温泉保養センターもあり、南アルプス塩見(しおみ)岳の登山口の一つ。300余年を経て伝えられた大鹿歌舞伎は国の重要無形民俗文化財。面積248.28平方キロメートル、人口1023(2020)。
[小林寛義]
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