日本大百科全書(ニッポニカ) 「しし座」の意味・わかりやすい解説
しし座
ししざ / 獅子座
春の宵に頭上高く昇る形の整った星座。頭部を形づくる疑問符号「?」を裏返しにしたような部分はとくによく目をひき、西洋の草刈り鎌(がま)に似るところから「ししの大鎌」とよばれ親しまれている。ギリシア神話では、ネメアの森に住む不死身のライオンで、勇士ヘラクレスの冒険談の第1番目の仕事として退治されてしまったとされている。黄道十二星座の第5星座(獅子宮)で、ししの大鎌を形づくっている1等星レグルスはちょうど黄道上に位置するため、古くから王の星とよばれ、星占いにとって重要な星とされていた。レグルス(小王の意味)の名は、地動説で知られるコペルニクスが命名したものとされる。望遠鏡では、ししの大鎌の中ほどに位置するγ(ガンマ)星が美しい連星として知られているが、この近くにはかつて何度も大流星雨を降らせたことのあるしし座流星群の放射点もあり、2001年(平成13)11月19日に日本でも大出現が見られた。
[藤井 旭]
『瀬川昌男著『星座博物館「春」』(1988・ぎょうせい)』▽『藤井旭著『春の星座』(1989・金の星社)』▽『林完次写真・文『星をさがす本』(2002・角川書店)』▽『藤井旭著『星座大全――春の星座』(2003・作品社)』