レグルス(読み)れぐるす(英語表記)Regulus

翻訳|Regulus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レグルス」の意味・わかりやすい解説

レグルス
れぐるす
Regulus

しし座のα(アルファ)星の固有名。古くからバビロニアギリシアアラビアなどで「王」や「王者」とよばれていたが、この「小さい王 Regulus」というラテン名はコペルニクスが初めて使ったという。春の宵の空に輝く1.35等の恒星で、スペクトル型はB7Vの主系列星、表面温度は約1万3000Kである。天球上の位置は、2000年分点の座標で、赤経10時08分、赤緯プラス11度58分。距離は77光年。質量太陽の5倍程度、半径は3.8倍。赤道表面で少なくとも毎秒330キロメートルという高速度で自転している。レグルスは実視連星であり、主星(A星)から角度で180秒ほど離れたところに、8.12等のスペクトル型K1Vの主系列星を伴星(B星)にもつ。さらに、このB星も角度で数秒離れたところに13.1等のM型星を伴星(C星)にもっている。これらの星は全体として太陽系から毎秒6キロメートルの速度で遠ざかっている。位置が黄道上にあるため月に隠されることがあり、惑星もよく近くを通るので、古来占星術に利用された。

[北村正利・岡崎 彰]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レグルス」の意味・わかりやすい解説

レグルス
Regulus, Marcus Atilius

前3世紀のローマ軍人政治家。前 267,前 256年執政官 (コンスル ) 。第1次ポエニ戦争に参加。過酷な条件を出してカルタゴ講和を拒まれ,結局前 255年敗れて捕われた。伝説によれば,講和ないしカルタゴ人の捕虜との交換のため,一時ローマに返されたが,彼みずから元老院にその両方を拒否するよう説いてから,再びみずからの意志でカルタゴに送られ,責め殺されたという。このため後世ローマ軍人の模範とされた。

レグルス
Regulus

しし座α星 (α-Leo) の固有名。白色の最輝星の一つで,実視等級は 1.36等,スペクトル型は B7の主系列星。太陽の約 100倍の明るさをもち,距離は 70光年。古代の占星術では大切な星であったので,星の名は「王」に相当するラテン語からきている。

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