しゃこ(その他表記)mantis shrimp

精選版 日本国語大辞典 「しゃこ」の意味・読み・例文・類語

しゃこ

  1. 〘 名詞 〙 酉の市で売る熊手のうち、最も小さいものの通称。〔東京年中行事(1911)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「しゃこ」の意味・わかりやすい解説

シャコ (蝦蛄)
mantis shrimp

口脚目シャコ科の甲殻類。広義には口脚類Stomatopoda一般を指す呼称としても用いられる。シャコOratosquilla oratoriaは体長15cmくらい。北海道以南~中国沿岸に分布し,内湾の砂泥底にすむ。日本沿岸にもっともふつうで,大量に漁獲され,他のごく近似の種類とともに食用とされる。生きているときは体表には灰白色の地に暗色の小点が散在しているが,煮るとエビやカニのように赤くならずに赤紫色になる。強大な捕脚(第2顎脚)の指節内縁に6~7本の鋭いとげがある。腹肢は葉状で,遊泳用であるが,その外肢の内側に樹枝状のえらがついている。雌雄ともに同様な形,色彩をしているが,雄では最後の歩脚の基部内側に生殖孔の部分が長く伸長してできた陰茎があり,第1腹肢が交尾器に変形している。雌では第6胸節腹面の中ほどに生殖孔が開き,卵巣の熟した雌では腹部が淡黄色をしている。尾節と尾肢はよく発達し,ともにがんじょうな尾扇を形成する。これは有力な遊泳器官の一つでもあり,これを用いて砂泥底に坑道を掘り,その中にすんでいる。

 夜行性で,夜間この坑道を出て,強大な捕脚を用いて,魚類,甲殻類,ゴカイ類や頭足類などを捕食する。産卵期は5~11月で,産卵後,雌は3対の顎脚で口の付近に卵塊を抱え,坑道内で保育する。胚は卵内でノープリウス期を過ごし,ゾエア期に相当する幼生期で孵化(ふか)する。

 口脚類の初期幼生には二つの型がある。シャコを含むシャコ科とこれにごく近いものでは,アリマalima型幼生と呼ばれ,体は細長く,短く幅広い背甲をもつが,他の口脚類のものでは,エリクタスerichthus型幼生と呼ばれ,体は少し幅広く,細長く幅狭い背甲をもつ。互いに異なった幼生型を示すが,両型とも5回ほどの脱皮の後には,共通な最後の幼生期のシンゾエアsynzoea期となり,顎脚,歩脚,腹肢なども成体によく似た形となる。この後,底生性のストマトポディトstomatopodit期となり,背甲のとげが消えて,しだいに成体に近づく。寿命は4年くらいと思われている。シャコ類の幼生は昼間の中層や夜間の表層より集めたプランクトン中によく見られるが,カタクチイワシの稚魚を煮干しにした白子干し(しらすぼし)にも,ゾエアやメガロパといった他の甲殻類の幼生や稚魚などとともによく混じっているのが見られる。

 ミナミシャコO.kempeiは一時シャコの南方型と考えられていたが,第7胸節側縁の前棘(ぜんきよく)がないか,または不明りょうであること,および第2腹節背面に大きな黒斑を有するなどでシャコと相違している。瀬戸内海以南より華南沿岸に分布している。トゲシャコHarpiosquilla raphideaは体長30cmに達し,口脚類中最大の種で,本州中部以南より,マレー諸島インド洋に分布している。
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シャコ (鷓鴣)

広義には,キジ目キジ科の鳥の中でウズラ類よりも大型でキジ類よりも小型の種類の総称として用いる。狭義にはキジ科シャコ属Francolinusに含まれる41種を指す。かつてはコモンシャコF.pintadenusおよびドーリアヤマウズラPerdix dauuricaeをシャコと呼んでいたこともある。広義のシャコ類では,北アメリカ(南アメリカ北部を含む)に分布するアメリカウズラ類と,ユーラシア,アフリカに分布するシャコ類(シャコ属を含む)とに大別できる。

 アメリカウズラ類中著名な種はコリンウズラColinus virginianus英名bobwhite)で,その名のとおりボブホワイトと鳴き,狩猟鳥として重要である。体長は約25cmで,羽色は赤茶色に黒い横斑がある。北アメリカ中部のおもに原野や畑にすみ,繁殖期にはなわばりをもち,冬期は群れでくらす。1腹の卵数は約15個,抱卵日数は23日間。雛は孵化(ふか)後すぐに巣を離れる。食物は植物の種子のほか,昆虫類も食べるので農業上有益である。ユーラシア,アフリカに分布するシャコ類は,岩地,草原,灌木林,竹林,森林,耕地とさまざまな環境に,それぞれの環境に適応した種が局地的に分布している。コモンシャコは体長約30cmで,中国南部の低地の灌木林に数羽の小群で生息し,昆虫や植物の種子などをおもに食べている。繁殖期には地上に巣をつくり,3~6個の淡い黄色の卵を産み,21日間抱卵する。狩猟鳥として好まれる。ヤマウズラ類は,ヨーロッパヤマウズラPerdix perdix(英名gray partridge)が狩猟鳥として著名。このほかには,山地の乾燥した岩地性の小灌木にすむイワシャコ類(Alectoris属),ヒマラヤ山系の雪上にすむユキシャコLerwa lerwa(英名snow partridge),カフカスからアルタイ,チベット,ヒマラヤ山系の雪線の下の荒れた草地にすむセッケイTetraogallus属(英名snow-cock)などがいる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「しゃこ」の意味・わかりやすい解説

シャコ(海産動物)
しゃこ / 蝦蛄
[学] Oratosquilla oratoria

節足動物門甲殻綱口脚(こうきゃく)目シャコ科に属する海産動物。水産業上の重要種で、とくにすし種(だね)として珍重される。北海道以南の日本各地および中国南部まで分布し、ハワイからも記録がある。水深10~30メートルの内湾砂泥底にU字形の穴を掘ってすむ。東京湾、三河(みかわ)湾、伊勢(いせ)湾、瀬戸内海、有明(ありあけ)海などに多く、打瀬網(うたせあみ)で一年中漁獲されている。体長15センチメートルほどで、頭胸甲は小さくて第4胸節までしか覆っていない。露出した第5から第8胸節は腹部のようにみえるが、第6から第8胸節には歩脚が1対ずつある。後方には6腹節と尾節が続くが、第1から第5腹節の背面には4対、第6腹節には3対の縦走隆起線がある。尾節は大きく、尾肢(びし)とともに尾扇(びせん)を形成し、巣穴を掘るのに使われる。第2胸節の付属肢が変化した捕脚は、指節が鋭くとがり、内側には5、6本の鋭い棘(とげ)がある。この指節は前節の内側とあわさって特別なはさみになり、小魚、エビ、カニ、ゴカイなどを捕食する。外形的には雌雄は違わないが、雄では第8胸脚の基部内側に長い交尾器がある。

 産卵期は5月中旬から7月中旬で、6月が盛期である。卵は4万3000~5万粒で、内外2層の卵包膜で包まれている。膜を除いた卵径は0.5ミリメートルほど。各卵5~10本の糸状体が出ていて、産み出されるとすぐ直径10センチメートルで3~5層の卵塊になる。雌はこの卵塊を卵が孵化(ふか)するまで3対の顎脚(がっきゃく)で口元に抱えている。孵化直後のアリマ幼生は体長3ミリメートル内外で、三角形の甲をもつ。胸脚は前方2対だけが現れ、第2対目(後ろの捕脚)がすでに大きい。雌は孵化後満1年で体長が6、7センチメートルになり、その後、2年で8~11センチメートル、3年で12~14センチメートル、3年半で14、15センチメートルになる。寿命は雄で3年5か月、雌で3年9か月である。

 総称的にシャコとよぶ場合は口脚目に属する種を意味している。すなわち、口脚目はシャコ類である。潮間帯から深海まで約500種が記載され、6科に分けられている。

[武田正倫]

食品

形はあまりよくないが、味はたいへんよい。春から初夏が旬。なまのシャコは出回る量が少なく、水揚げした港ですぐにゆで、頭と背の殻を取り除き、腹部の皮を残して箱詰めにしたものが出荷される。すし種(だね)によく用いられる。なまのものは海水程度の食塩を加えた熱湯中でゆで、殻を除いて用いる。殻の取り方は、まず頭を取り除き、体側に沿って鋏(はさみ)で殻の両側を切り、背、尾、腹の順に殻をとる。すし種以外に酢の物、てんぷら、卵とじなどにする。ゆでたものは腐敗が早く、腐敗しても判別しにくいので選び方、保存に注意する。ゆでてすぐに酢じめにすると身がしまり、腐敗しにくい。

[河野友美・大滝 緑]



シャコ(鳥)
しゃこ / 鷓鴣
francolin

広義には鳥綱キジ目キジ科シャコ属に含まれる鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この属Francolinusには約41種があり、ほとんどがアフリカに分布し、数種がアジアとヨーロッパにすむ。生態、形態ともにコジュケイに似る。近縁のイワシャコ属Alectris7種も、ユーラシアとアフリカに分布し、形態も似るが、より乾燥地を好む。

 種のシャコF. pintadeanusは、中国南部からインドシナ半島にかけて分布する。全長約32センチメートル。斑紋(はんもん)が多いのでコモンシャコ(小紋シャコ)ともいう。明るい林と乾燥した叢林(そうりん)を好んですみ、数も多い。年じゅう歯切れのよい大きな声で鳴き、中国では唐の時代から、都を思う旅人の望郷の念を誘う声として多くの詩に詠まれた。

[竹下信雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「しゃこ」の意味・わかりやすい解説

シャコ
Oratosquilla oratoria

軟甲綱口脚目シャコ科 Squillidae。体長 15cm内外。甲は小さく,露出した第5~8胸節は一見腹部のようにみえる。昼間は浅い U字形の穴を掘って隠れているが,夜間には穴から出て,棘状歯の並んだ捕脚(第2胸脚)で小魚やエビ,ゴカイなどを捕食する。5月中旬~7月上旬に約 5万粒の卵を産む。卵はすぐに直径 10cmほどの塊となり,雌が顎脚で口元に抱えて保護する。東京湾三河湾瀬戸内海有明海などから一年中漁獲され,酢の物,煮物,鮨種などに利用される。北海道以南各地の内湾の水深 10~30mの泥底にすみ,中国沿岸,アメリカ合衆国ハワイ州からも知られている。口脚目はシャコ科を含めて 17科に細分されるが,それらの基本的体制はよく似ており,シャコと総称される。とくに挿脚の形状や餌のとり方が昆虫のカマキリ(英名 mantis)を思わせることから,英名は mantis shrimp。捕脚に棘状歯をもつシャコ科と捕脚の可動指の基部がこぶ状にふくらんでいるフトユビシャコ科 Gonodactylidaeが代表的である。サンゴ礁にはフトユビシャコとその近縁種が多く,捕脚でぱちんという大きな音を出す。(→甲殻類口脚類節足動物軟甲類

シャコ
francolins, partridges

キジ目キジ科のシャコ属 Francolinus,イワシャコ属 Alectoris などの鳥の総称。明確に分類されたものではなく,たとえばイワシャコ属などはヤマウズラ類 partridgesに含まれるが,和名では多くの種にシャコという名がついているのでシャコと総称する。ウズラキジの中間的な体形の鳥で,ウズラよりもが大きく,じょうぶな脚と長めの尾をもっている。全長は 28~40cmで,羽色は褐色の地に縞や紋のあるものが多い。草原,藪,林などにすみ,一般に肉は美味で,狩猟鳥として価値が高い。ユーラシア大陸とアフリカに分布する。代表種にコモンシャコ F. pintadeanus,ムナグロシャコ F. francolinus などがある。なお,ヤマウズラ類にはイワシャコ,冠羽(→羽冠)をもつカンムリシャコ Rollulus roulroul などがある。

しゃこ

(1) インドに産したという宝石の一種。サンスクリット語で musāragalva。実体については諸説があり,サンゴ,キャッツ・アイ,サファイアなどにあてられたりするが不明。 (2) 仏語。七宝の一つで,シャコガイの貝殻を磨いたもの。

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普及版 字通 「しゃこ」の読み・字形・画数・意味

】しやこ

つけで酒をかう。〔三国志、呉、潘伝〕性、にして、酒を嗜(この)む。に居り、好んです。債家門に至れば、輒(すなは)ち言ふ、後豪富ならば相ひさんと。

字通「」の項目を見る


個】しやこ

箇。

字通「」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「しゃこ」の意味・わかりやすい解説

シャコ(甲殻)【シャコ】

甲殻綱シャコ科。エビに似るが,口脚目に属する。頭胸甲は小さくて薄い。第1触角は3本のひげに分かれ,眼は大きい。第2顎脚はカマキリの脚のように強大で捕脚を形成。腹部は強大で幅広く,尾節は板状である。色は淡褐色で青・赤の縦線が走る。体長は15cmくらい。北海道以南〜中国大陸に分布し,ハワイでも知られる。内湾の砂泥底に腹部で穴を掘って生活し,夜穴から出て小甲殻類,小魚等を捕食。打瀬(うたせ)網などで漁獲され,酢の物,すし種とする。
→関連項目アナジャコ甲殻類

シャコ(鳥類)【シャコ】

キジ科の鳥の一群の総称。キジとウズラの中間の体形をもつものを指し,分類学的な区分ではない。ヨーロッパヤマウズラ(狩猟鳥として有名なパートリッジ),コモンシャコ(中国産),セッケイ(ヒマラヤの高山産),コジュケイ(中国,南アジア原産,日本で野生化)等がある。

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栄養・生化学辞典 「しゃこ」の解説

シャコ

 [Oratosquilla oratoria].シャコ目の海産の節足動物で,15cmほどになり食用にする.

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世界大百科事典(旧版)内のしゃこの言及

【口脚類】より

…甲殻綱口脚目Stomatopoda(トゲエビ目Haplocaridaともいう)に属する節足動物の総称。シャコ類が含まれる。カマキリの脚に似ている強大な第2胸脚は,この類に特有で捕脚と呼ばれる。…

※「しゃこ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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