ショルツ(その他表記)Scholz, Olaf

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ショルツ」の意味・わかりやすい解説

ショルツ
Scholz, Olaf

[生]1958.6.14. ドイツ連邦共和国,オスナブリュック
オラフ・ショルツ。ドイツの政治家。首相(在任 2021~25)。中道左派のドイツ社会民主党 SPDに長年所属し,キリスト教民主・社会同盟 CDU・CSU所属のアンゲラ・メルケル首相の後任に就任した。
繊維関係の仕事につく両親のもと,北西部の都市オスナブリュックで生まれ,その後ハンブルクに移った。高校在学中の 1975年に SPDに入党。1978年から 1984年までハンブルク大学で法律を学ぶ。1985年に卒業し,ハンブルクに労働法を専門とする弁護士事務所を設立。1998年に連邦議会議員に初当選し,ハンブルク出身の政治家ブリッタ・エルンストと結婚。2001年にはハンブルク市長の招聘を受けて,同市の内務大臣に就任し,任期途中で連邦議員を辞する。2002年の連邦議会選挙で連邦議員に返り咲き,メルケル首相 1期目の大連立政権(議会第一党と第二党による連立政権)で労働・社会保障大臣に就任する。2011年には再び連邦議員を辞してハンブルク市長に就任。メルケル首相 4期目の大連立政権(2018~21)では財務大臣と副首相を務める。2021年9月の連邦議会選挙で,SPDが CDU・CSUを退けて第一党となり,自由民主党 FDP緑の党との連立で合意,2021年12月8日,ショルツを首班とする新政権が誕生した。
在職中は,新型コロナウイルス感染症(→COVID-19)や,ベラルーシアレクサンドルルカシェンコ政権によるヨーロッパ連合 EU加盟国への中東移民・難民の大量移送,さらに 2022年2月24日以降はロシアの軍事侵攻を受けたウクライナの対応にあたった。ウクライナ戦争について,ショルツはヨーロッパにおける「時代の転換点」Zeitenwendeであると宣言,ドイツとして明確な対応を示すことが必要であると主張し,第2次世界大戦後ドイツが継続してきた政策を転換し,対戦車砲 1000門や携行式地対空ミサイル「スティンガー」500発といった殺傷能力のある兵器をウクライナに引き渡した。2024年12月16日に連邦議会での信任投票に打って出たものの否決され,解散,総選挙となり,翌 2025年2月23日の選挙では SPDは第三党に後退した。大連立を組んだ第一党 CDU・CSUのフリードリヒ・メルツに首相の座を明け渡した。

ショルツ
Scholz, Heinrich

[生]1884.12.17. ベルリン
[没]1956.12.30. ミュンスター
ドイツの神学者,哲学者,論理学者。 1917年ブレスラウ,19年キール,28年ミュンスターの各大学教授。最初,宗教哲学神学を専攻し,R.オットー影響を受けた。のち (キール大学時代) 数理論理学に転じ,ドイツにおける数理論理学の方向を基礎づけた。主著『宗教哲学』 Religionsphilosophie (1921) ,『論理学史』 Geschichte der Logik (31) ,『ロギスティーク』 Logistik (33) ,『数理論理学』 Grundzüge der mathematischen Logik (2巻,50~51) ,『マテーシス・ウニベルサリス』 Mathesis Universalis (61) 。

ショルツ
Scholz, Wilhelm von

[生]1874.7.15. ベルリン
[没]1969.5.29. コンスタンツ
ドイツの小説家,詩人劇作家随筆家。父は大蔵大臣もつとめた政治家。内外の大学で学び,初め舞台監督をつとめ俳優となった。新古典派と目されたが,魔術的,神秘的なものに関心をいだき,象徴的写実主義の代表者となった。戯曲『影との競走』 Der Wettlauf mit dem Schatten (1922) が著名。そのほか,歴史小説『ペルペチュア』 Perpetua (24) ,『イロクへの道』 Der Weg nach Ilok (30) ,ヘッベルやシラーの伝記がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショルツ」の意味・わかりやすい解説

ショルツ
しょるつ
Wilhelm von Scholz
(1874―1969)

ドイツの劇作家。19世紀末に叙情的な象徴詩人として出発し、その後ヘッベルの影響を受けて、盟友エルンストとともに新古典主義を提唱した。『コンスタンツのユダヤ人』(1905)がその代表作。ドイツ神秘主義に心酔してからは作風が一変し、夢幻的なオカルトの世界と現実が交錯する二重の世界を描いた。戯曲『影との競争』(1922)、小説『ペルペトゥア』(1926)は世界的に有名。

[丸山 匠]

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