ジュールの法則(読み)ジュールノホウソク(英語表記)Joule’s law

デジタル大辞泉 「ジュールの法則」の意味・読み・例文・類語

ジュール‐の‐ほうそく〔‐ハフソク〕【ジュールの法則】

導線電流を通したとき、一定時間に発生する熱量電気抵抗および電流の強さの2乗に比例するという法則。1840年にジュール発見

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精選版 日本国語大辞典 「ジュールの法則」の意味・読み・例文・類語

ジュール の 法則(ほうそく)

  1. 抵抗のある導線に電流が流れると、毎秒その抵抗と電流の二乗とに比例する熱量が発生するという法則。一八四〇年、ジュールが実験的に発見。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジュールの法則」の意味・わかりやすい解説

ジュールの法則 (ジュールのほうそく)
Joule’s law

導線に電流が流れると熱が発生する。これをジュール熱Joule’s heatといい,単位時間当りの発熱量は,電流の2乗と導線の電気抵抗の積に等しい。これがジュールの法則で,1840年にJ.ジュールが確立した。発熱量をW(W)(すなわちW(J/s)),電流をI(A),電気抵抗をR(Ω)とすれば,ジュールの法則はWI2Rと表され,交流については電流の実効値Iとすればこの式が成り立つ。直流の場合,導線の両端電圧Vオームの法則によりVIRで与えられるから,上の関係WVIとも書ける。電圧V(V)をかけて電流I(A)を流すとき,起電力の仕事率(1秒間にする仕事)はVI(W)であるから,ジュールの法則は,発熱量が起電力の仕事率に等しいことを述べている。これはエネルギー保存則にほかならない(ジュールはエネルギー保存則の発見者の一人である)。電熱器電球はジュール熱の利用の例である。一方,モーターなど一般の電力利用の場合には,ジュール熱は電力の損失であり,さらに冷却の必要性を引き起こす場合も多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュールの法則」の意味・わかりやすい解説

ジュールの法則
じゅーるのほうそく

電気抵抗Rの導線に電流Iを流すとき、導線に発生する単位時間当りの熱量Qは、QI2Rで表されるという法則。ジュールが実験の結果みいだしたのでこの名がある。また、ジュール‐トムソンの実験により、理想気体では、内部エネルギー温度だけで決まるということが明らかになった。これもジュールの法則という。この法則は理想気体特質をもっとも明確に示すものである。

 微視的にいうと、ある物質の気体状態は、その物質に特有な分子(たとえば酸素ではO2分子)が、この気体が入っている容器内の全空間をほとんど不規則に活発に飛び回っている状態である。分子が活発に飛び回っているのは、分子が現在の温度に相当する熱エネルギーを運動エネルギーとしてもっているからである。一方、実在の気体では、分子は有限の大きさをもっており、また分子間には相互作用があって、これらのことから、各分子の行動は互いに独立ではない。このことは、分子間に位置のエネルギー(ポテンシャル・エネルギー)が存在するということであり、また、気体の内部エネルギーが温度だけではなく体積にもよるということでもある。逆にいえば、理想気体とは、分子を大きさをもたない質点と考えることができ、かつ分子間に相互作用がなくて、各分子は互いにまったく独立に行動しているということである。

[沢田正三]

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百科事典マイペディア 「ジュールの法則」の意味・わかりやすい解説

ジュールの法則【ジュールのほうそく】

〈導体内を流れる定常電流により1秒間に発生する熱量Qは,電流の強さIの2乗と導体の抵抗Rに比例する〉。つまりIをアンペア,Rをオームで表せば,Q=I2Rジュール/秒=0.24I2Rカロリー/秒となる。1840年ジュールが発見。この法則によれば,電流が一定なら抵抗が大きいほど発熱量が大きく,電圧が一定なら抵抗が小さいほど発熱量が大きい。
→関連項目ジュール熱電熱

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュールの法則」の意味・わかりやすい解説

ジュールの法則
ジュールのほうそく
Joule's law

電流によって導体内に発生する熱量に関する法則。抵抗 R の導線に I の電流が流れているとき,t 秒間に発生する熱は,ジュールを単位にして表わすと I2Rt ,カロリーで表わすと 0.24I2Rt である。この関係は 1840年 J.P.ジュールによって実験的に見出された。発生する熱をジュール熱という。

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法則の辞典 「ジュールの法則」の解説

ジュールの法則【Joule's law】

導体に流れる定常電流により発生する熱(これをジュール熱*という)と電流値との関係を表す法則,1841年にジュール(J. P. Joule)の発見になる.発生する熱量を Q,導体の抵抗値を R,電流値を I で表すと,

QI2R

となる.

ジュールの法則【Joule's law (thermodynamics)】

気体の内部エネルギーは温度のみの関数である.これはジュールの実験(気体の真空に対する自由膨張に際しては熱の出入がない)から導かれた熱力学の基本法則の一つである.

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世界大百科事典(旧版)内のジュールの法則の言及

【ジュール】より

…科学実験に興味をもち,大学の教職には一生つかなかったが,自宅の研究室で余暇に多くの研究をした。ジュールのもっとも有名な業績はの仕事当量を精密に測定したことであるが,このほかにも電流の熱作用に関するジュールの法則の発見,空気の自由拡散の際の温度効果や空気の自由膨張についての実験などの業績がある。 ジュールの研究の始まりは,発明されたばかりの電磁石に関心をもち,電気を動力とする実用的な機械モーターが可能だとの考えで,より効率のよい電磁モーターをつくろうという試みに取り組んだことであった。…

※「ジュールの法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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