ジュールの法則(読み)じゅーるのほうそく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュールの法則」の意味・わかりやすい解説

ジュールの法則
じゅーるのほうそく

電気抵抗R導線電流Iを流すとき、導線に発生する単位時間当りの熱量Qは、QI2Rで表されるという法則ジュール実験の結果みいだしたのでこの名がある。また、ジュール‐トムソンの実験により、理想気体では、内部エネルギーが温度だけで決まるということが明らかになった。これもジュールの法則という。この法則は理想気体特質をもっとも明確に示すものである。

 微視的にいうと、ある物質の気体状態は、その物質に特有な分子(たとえば酸素ではO2分子)が、この気体が入っている容器内の全空間をほとんど不規則に活発に飛び回っている状態である。分子が活発に飛び回っているのは、分子が現在の温度に相当する熱エネルギーを運動エネルギーとしてもっているからである。一方、実在の気体では、分子は有限の大きさをもっており、また分子間には相互作用があって、これらのことから、各分子の行動は互いに独立ではない。このことは、分子間に位置のエネルギー(ポテンシャル・エネルギー)が存在するということであり、また、気体の内部エネルギーが温度だけではなく体積にもよるということでもある。逆にいえば、理想気体とは、分子を大きさをもたない質点と考えることができ、かつ分子間に相互作用がなくて、各分子は互いにまったく独立に行動しているということである。

[沢田正三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュールの法則」の意味・わかりやすい解説

ジュールの法則
ジュールのほうそく
Joule's law

電流によって導体内に発生する熱量に関する法則。抵抗 R の導線に I の電流が流れているとき,t 秒間に発生する熱は,ジュールを単位にして表わすと I2Rtカロリーで表わすと 0.24I2Rt である。この関係は 1840年 J.P.ジュールによって実験的に見出された。発生する熱をジュール熱という。

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