ダイグロシア(読み)だいぐろしあ(英語表記)diglossia

翻訳|diglossia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダイグロシア」の意味・わかりやすい解説

ダイグロシア
diglossia

一つの言語集団において,同じ言語の二つの変種が並存していること。片方文語もしくは威信の高いことば,もう片方は大多数の民衆の話しことば(口語)である標準語であることが多い。こうした状況は世界中の多くの言語集団に存在する。たとえばギリシアでは,古代ギリシア語の影響を強く受けているカサレブサが文語,ディモティキが口語の標準語である(→ギリシア語)。アラブ世界には,コーランに使われている古典アラビア語とともに,エジプトモロッコ,そのほか諸国で話される口語が存在する(→アラビア語)。なお,同じ共同体の成員が二つ以上の言語を話す 2言語併用と同じ意味で使用されることもある。この例としては,ニューヨークのヒスパニック社会で多くの人々がスペイン語と英語を話し,社会的状況やその場の必要性に応じて使い分けていることがあげられる。(→言語社会学

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイグロシア」の意味・わかりやすい解説

ダイグロシア
だいぐろしあ
diglossia

社会言語学用語。アメリカのファーガソンC. A. Fergusonが最初に提唱した概念。多言語社会においては二言語、単一言語社会においては二言語変種(共通語と地方方言、改まった文体とくだけた文体など)を社会的な場面の性質に応じて使い分け、その使い分け方が社会的に定まっている現象をいう。言語・言語変種の切り替えは「コード切り替え」code-switchingとよばれる。

[国広哲弥]

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