ネリネ(その他表記)Nerine

デジタル大辞泉 「ネリネ」の意味・読み・例文・類語

ネリネ(〈ラテン〉Nerine)

ヒガンバナ科球根植物南アフリカ原産。秋に赤・桃・白などの色のヒガンバナに似た花をつける。

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改訂新版 世界大百科事典 「ネリネ」の意味・わかりやすい解説

ネリネ
Nerine

ヒガンバナ科の球根植物。ヒガンバナに似たヒメヒガンバナ属Nerineは南アフリカ原産で,約30種がケープ地域を中心に分化している。花は10月から11月にかけて咲くものが多い。いくつかの原種交配によって育成された栽培品種が,観賞用に栽植される。ネリネ・ボウデニイN.bowdenii W.Wat.は細弁の桃色花をつけ,耐寒性が強く,東京以南なら露地栽培ができる。ネリネ・フレクスオサN.flexuosa Herb.は花茎が高さ50~60cmになる大型高性種で,花被片の縁は波立ったちぢれ弁となる。花色に白と桃とあり,とくに白から優秀な交配品種が作出されている。ネリネ・プディカN.pudica Hook.f.は上記より広弁の小型種で,花は淡桃色。ネリネ・サルニエンシスN.sarniensis(L.)Herb.は濃桃の花をつけ,現在の主流をなす園芸種の母種となり,純白,桃,赤,紫色に及ぶ多彩な花色の品種群が育成されている。排水のよい耕土に地植えして,葉が地上にあるときは灌水をするが,過湿はさける。2~3年ごとに8月末から9月中旬に植え替える。春,葉が枯れた後はなるべく乾燥した条件にする。ネリネ類は花もちがよく,10月から11月に切花として利用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネリネ」の意味・わかりやすい解説

ネリネ
ねりね
diamond lily
[学] Nerine

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)ネリネ属の総称。属名は「海の女神」の意味で、光る花の状態からダイヤモンドリリーの英名がある。アフリカ南部に31種分布する。外観はヒガンバナに似るが、茎に空洞がなく、花の寿命は長い。秋に開花するが、ハイブリダ系はヒガンバナより1か月遅れの10月中旬~11月中旬に開く。また、夏・冬に咲く特異な品種もある。花色は黄色を除く各色があり、最近の交配種には二色咲きなど、美麗なものがある。ボーデニー種は高性で、花弁は細く桃色。東京以西では露地で栽培できる。また、サルニエンシス種は本属中もっとも美しい品種である。ほかに、開花率が低いフレクスオサ・アルバ、遅咲き・多花性で淡黄白色花の園芸種であるマンセリー種などの母種をはじめ、太茎の大形種もある。

 切り花、鉢植え用で、8月下旬~9月上旬に球根を植え付ける。大球種で5号鉢に三球植え。用土は鹿沼土(かぬまつち)、砂、ピートモス燻炭(くんたん)などを等分混合、とくに排水をよくする。根を切らないようにして植えるのがこつである。高山性の2、3種以外は耐寒力が弱く、短時間なら零下3℃くらいまでは耐えるが、極寒期は保温を必要とする。肥料は、窒素の少ないものを早期にすこし施す程度でよい。

[川畑寅三郎 2019年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネリネ」の意味・わかりやすい解説

ネリネ
Nerine

ヒガンバナ科ネリネ属の総称で約 30種があり,大半が南アフリカに自生。切り花や鉢植えに利用されている。半耐寒性の球根植物で,線状の葉を根出させ,茎頂に散形花序を形成する。花容はヒガンバナに似る。6枚の花被片はそり返り,縁がしばしば波打つ。花色は朱赤色,桃紅色,桃色,白色など。真珠のような光沢があり,ダイヤモンド・リリーとも呼ばれる。欧米を中心に精力的に育種が進められ,多くの園芸品種が生れている。日本へは大正初期に渡来したが,有毒植物として知られるヒガンバナに似ていたため,当時は園芸植物として定着しなかった。球根は9月初旬に植付ける。特に過湿に弱いため,水はけのよい用土を用いて,よく日に当てて育てる。

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百科事典マイペディア 「ネリネ」の意味・わかりやすい解説

ネリネ

南アフリカ原産のヒガンバナ科の多年草。半耐寒性の球根植物で,花や葉,球根の形態はヒガンバナに似る。秋〜冬に開花し,その前後に葉を出す。野生種は約30種あるが,園芸的に栽培されるのは主に交雑品種であり,花色も赤,桃,朱紅,白等豊富である。東京付近ではフレームで栽培できる。鉢植,切花に向く。実生(みしょう),分球でふやす。花被片の表面に輝きがあるために,園芸界では〈ダイアモンドリリー〉とも呼ばれている。

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