はたけ

改訂新版 世界大百科事典 「はたけ」の意味・わかりやすい解説

はたけ

学童期の子どもの顔面にみられる,比較的境界鮮明な,円形または楕円形の,やや白く見える不完全脱色素斑。医学的には顔面単純性粃糠(ひこう)疹pityriasis simplex facieiという。表面には細かな落屑(らくせつ)をつけ,粉をふいたように見える。自覚症状はない。冬季多く,女児にくらべて男児にやや多くみられる。軽度のものも含めれば,まれではない。かつては,頭部浅在性白癬はくせん)(しらくも)との合併が多くみられたために,白癬の一種と考えられ,伝染性のものとされたが,伝染性の皮膚病ではない。皮脂分泌低下が基盤にあり,それになんらかの要因が加わって発症するものと考えられ,アトピー性皮膚炎の部分症状とする考えもある。放置しても思春期に至れば,皮脂の分泌が増加して自然に治癒するので,とくに治療をする必要はない。
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家庭医学館 「はたけ」の解説

はたけ

 はたけというのは、小学生くらいまでの子どもの顔、腕(うで)、脚(あし)にできる、十円玉大の円形の白いカサカサした湿疹(しっしん)のことです。
 ふつう、かゆみなどの自覚症状がないため、冬の間は気づかないことが多いのですが、夏から秋にかけて、周囲の皮膚が日に焼けると目立つようになります。
 はたけは、アトピー体質の子どもに多くみられ、アトピー性皮膚炎(せいひふえん)の診断の目安の1つにもあげられています。
 ところが、その原因については、はっきりしたことがまだわかっていません。以前は、真菌しんきん)や細菌感染あるいはビタミン不足でおこるなどの説がありましたが、現在はどちらもほとんど否定されています。したがって、人から人へと感染する心配はありません。
 治療は、よく洗浄した後に、白色ワセリンなどの油脂性軟膏(ゆしせいなんこう)を塗(ぬ)ります。治療というよりスキンケアですが、これがいちばんです。
 はたけが目立つのは夏ですが、実は症状が強くなるのは、皮膚が乾燥する冬季です。したがって、冬季にスキンケアを入念に行なうのがいちばんよいことです。
 なお、はたけが目立つのをふせぐためには、サンスクリーン剤で周囲の皮膚を含めて紫外線から守ることです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「はたけ」の意味・わかりやすい解説

はたけ
はたけ / 疥

顔面単純性粃糠疹(ひこうしん)の俗称で、小児ことに学童に好発し、ほおに100円硬貨大の境界明瞭(めいりょう)な円い白く粉をふいたような斑(はん)が1個ないし数個できる。かゆみや痛みはない。昔は白癬(はくせん)菌の寄生によっておこると考えられ、顔面浅在性白癬とよばれたこともあったが、これは間違いで、病変部には白癬菌は証明されず、伝染もしない。現在ではアトピー体質と関係が深く、皮脂の分泌低下が原因と考えられている。はたけは放置してもむやみに広がることはなく、思春期ごろには自然に治癒するので治療の必要はないが、あまり目だつ場合には油性のクリームや軟膏(なんこう)で治療する。

[野波英一郎]

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百科事典マイペディア 「はたけ」の意味・わかりやすい解説

はたけ

顔面単純性粃糠疹(ひこうしん)とも。顔面にできる灰白色,円形の皮疹で,粃糠様鱗屑(りんせつ)をもつ(白い粉をふいたような状態)。幼小児に多く,自覚症状はない。自然に治癒するが,気になるときは油性軟膏やクリームの塗布など。
→関連項目粃糠疹

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367日誕生日大事典 「はたけ」の解説

はたけ

生年月日:1968年8月17日
昭和時代;平成時代のギタリスト

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「はたけ」の意味・わかりやすい解説

はたけ

顔面単純性粃糠疹」のページをご覧ください。

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