ハネガヤ(読み)はねがや

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハネガヤ」の意味・わかりやすい解説

ハネガヤ
Plumularia setacea

刺胞動物門ヒドロ虫綱レプトテカータ目ハネガヤ科。高さ 4~5cmの羽状の群体をつくる。幹は規則正しい多数の節からなり,各節から小枝が左右交互にほぼ一平面上に出ている。群体によって雌雄が異なり,雌では生殖莢の先端が頸状に伸び切断形の開孔をもつが,雄では先端がしだいに細くなり,小孔をもつ。本州中部以南の浅海底の小石貝殻などに付着している。太平洋,インド洋大西洋地中海温帯海域や熱帯海域に広く分布している。なお,ハネガヤ科あるいはハネガヤ属の種を総称してハネガヤと呼ぶこともある。(→刺胞動物ヒドロ虫類無脊椎動物

ハネガヤ(羽茅)
ハネガヤ
Stipa pekinense; feather grass

イネ科の多年草で,東アジアの温帯に分布し,日本各地の山野草地に生える。稈は直立し淡緑色。葉は幅の広い線形でやや硬く,縁に鋸歯があり,下部葉鞘になる。夏から初秋にかけて,稈の頂部に大型のまばらな円錐花序をつける。小穂は短い花柄をもつ1花から成る。果実に長くねじれた芒 (のぎ) がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハネガヤ」の意味・わかりやすい解説

ハネガヤ(海産動物)
はねがや / 羽萱
[学] Plumularia setacea

腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱ヒドロイド目ハネガヤ科に属する海産動物。海岸の石や海藻などの上に高さ数センチメートルの繊細な羽状の群体を形成している。中央の幹から交互に小枝をほぼ一平面内に出している。各小枝は交互に並ぶ長短の節からなり、長いほうの節には1個のヒドロ莢(きょう)があり、そのヒドロ莢の上縁両側とヒドロ莢の下部中央にはそれぞれ小形の刺莢(しきょう)がみられる。ヒドロ莢は小さな杯状で、口縁は平滑、生時にはその口からポリプを伸ばして触手で餌(えさ)をとらえる。また、短いほうの節には中央に1個の刺莢がみられる。生殖体は幹上の小枝を出す小突起上に生じ、生殖莢は長紡錘形でその中に生殖細胞が生ずる。本州中部以南の浅海に普通みられるほか、世界に広く分布している。なお、ハネガヤ科の種類を総称してハネガヤということもある。

[山田真弓]


ハネガヤ(イネ科)
はねがや / 羽茅
[学] Achnatherum pekinense (Hance) Ohwi
Stipa pekinensis Hance

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。稈(かん)は堅くて株立ちし、高さ0.8~1.5メートル。8~9月、稈頂に分枝が開出し、仮輪生する細長い円錐(えんすい)花序をつける。小穂は円柱形、小花が1個ある。包穎(ほうえい)は三脈があり、小花と同じ長さ。護穎は基盤が鋭く、毛束があり、先端から膝折(ひざお)れする長い芒(のぎ)を出す。本州、北海道の山地の林内や草地に生え、朝鮮半島、中国、シベリア東部に分布する。名は、この属(Stipa)の基準種が羽状の毛がある芒をもつことに由来する。

[許 建 昌 2019年9月17日]

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