ピペロナール(読み)ぴぺろなーる(英語表記)piperonal

デジタル大辞泉 「ピペロナール」の意味・読み・例文・類語

ピペロナール(piperonal)

ヘリオトロープの花に似た香気をもつ無色結晶サフロール酸化して製造し、香料の調合剤などに用いる。花の精油中にも含まれる。ヘリオトロピン

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精選版 日本国語大辞典 「ピペロナール」の意味・読み・例文・類語

ピペロナール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] piperonal ) ヘリオトロープの花の香のする無色の結晶。化学式は C8H6O3 天然にも花精油中に存在するが、工業的にはサフロールからつくられる。香料としてきわめて広い用途がある。ヘリオトロピン。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピペロナール」の意味・わかりやすい解説

ピペロナール
ぴぺろなーる
piperonal

ベンゼン誘導体一つ別名をヘリオトロピンheliotropineという。天然にはスピレア(シモツケ)、ニセアカシア、ワイルドベルガモットの花精油、バニラの花芽に含まれている。ヘリオトロープ様香気の白色結晶。おもな製造方法は次の2種類である。

(1)オコチア油、サッサフラス油から得られるサフロールから製造するのが主流である。サフロールをカ性アルカリで加熱処理すると異性化してイソサフロールになる。これをオゾンまたは、重クロム酸塩などで酸化するとピペロナールが得られる。

(2)カテコールが安価に供給されるようになってからは、カテコールからの合成も重要になった。

 ライラックスイートピーカーネーションなどフローラル系調合香料として広く使用されている。香粧品香料としては高級調合香料から室内芳香剤、せっけん香料まで幅広く使用されている。またバニラとの組み合わせによるフレーバーとして重要である。

[佐藤菊正]


ピペロナール(データノート)
ぴぺろなーるでーたのーと

ピペロナール

 分子式 C8H6O3
 分子量 150.1
 融点  37℃
 沸点  263℃
 引火点 131℃

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改訂新版 世界大百科事典 「ピペロナール」の意味・わかりやすい解説

ピペロナール
piperonal


3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド,ヘリオトロピンheliotropinともいう。天然にはバニラ,ニセアカシア,ヤマグルマ,カワミドリなどの植物に少量含まれる。ヘ(ン)リオトロープ様の甘い香気をもつ。白色の結晶で,沸点144~145℃(14mmHg),融点37℃,アルコール,エーテル,ベンゼン等に可溶,水には難溶。熱,光で変質する。合成法としては,サフロールを異性化してイソサフロールとし,さらに二クロム酸カリウム,硫酸で酸化して合成する。またカテコールからの合成法もある。ピペロナールはヘリオトロープ系香料の調合基剤として重要で,ミモザ,スイートピー,ライラック,カーネーション等の調合香料として,また各種食品用フレーバーとして多用され,セッケン,香粧品の香料,室内芳香剤,医薬品原料,ストリキニーネの解毒剤などにも用いられている。
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化学辞典 第2版 「ピペロナール」の解説

ピペロナール
ピペロナール
piperonal

3,4-methylenedioxybenzaldehyde.C8H6O3(150.14).ヘリオトロピンともいう.バラ科やマメ科植物の花精油に少量存在する.サッサフラス油の主成分イソサフロールを酸化してつくる.ヘリオトロープに似た芳香をもつ.融点37 ℃,沸点263 ℃.有機溶剤に可溶,水に難溶.せっけんの香料,そのほか一般香料,有機合成原料に広く用いられる.有用な揮発保留剤,調和剤である.LD50 2700 mg/kg(ラット,経口).[CAS 120-57-0]

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百科事典マイペディア 「ピペロナール」の意味・わかりやすい解説

ピペロナール

3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒドのことでヘリオトロピンとも。ヘリオトロープ様の芳香をもつ無色または白色の結晶。融点37℃,沸点144(14mmHg)℃。ニセアカシアなどの花精油中に少量存在。工業的にイソサフロールの酸化により製造。ヘリオトロープ系調合香料の原料として重要。一般香粧品,セッケン香料などに広く用いられる。(図)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピペロナール」の意味・わかりやすい解説

ピペロナール
piperonal

化学式 C8H6O3 。ヘリオトロープの香りのする無色の結晶。融点 37℃。ニセアカシア,ヘリオトロープなどの花の精油中に存在する。広く用いられる重要香料の一つで,化粧品,特に石鹸などにクマリン,バニリンなどとともに用いられる。

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栄養・生化学辞典 「ピペロナール」の解説

ピペロナール

 C8H6O3 (mw150.13).

 花の精油成分.着香剤として使われる食品添加物.

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