日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピペロナール」の意味・わかりやすい解説
ピペロナール
ぴぺろなーる
piperonal
ベンゼン誘導体の一つ。別名をヘリオトロピンheliotropineという。天然にはスピレア(シモツケ)、ニセアカシア、ワイルドベルガモットの花精油、バニラの花芽に含まれている。ヘリオトロープ様香気の白色結晶。おもな製造方法は次の2種類である。
(1)オコチア油、サッサフラス油から得られるサフロールから製造するのが主流である。サフロールをカ性アルカリで加熱処理すると異性化してイソサフロールになる。これをオゾンまたは、重クロム酸塩などで酸化するとピペロナールが得られる。
(2)カテコールが安価に供給されるようになってからは、カテコールからの合成も重要になった。
ライラック、スイートピー、カーネーションなどフローラル系調合香料として広く使用されている。香粧品香料としては高級調合香料から室内芳香剤、せっけん香料まで幅広く使用されている。またバニラとの組み合わせによるフレーバーとして重要である。
[佐藤菊正]