ベンゼン誘導体の一つ。別名をヘリオトロピンheliotropineという。天然にはスピレア(シモツケ)、ニセアカシア、ワイルドベルガモットの花精油、バニラの花芽に含まれている。ヘリオトロープ様香気の白色結晶。おもな製造方法は次の2種類である。
(1)オコチア油、サッサフラス油から得られるサフロールから製造するのが主流である。サフロールをカ性アルカリで加熱処理すると異性化してイソサフロールになる。これをオゾンまたは、重クロム酸塩などで酸化するとピペロナールが得られる。
(2)カテコールが安価に供給されるようになってからは、カテコールからの合成も重要になった。
ライラック、スイートピー、カーネーションなどフローラル系調合香料として広く使用されている。香粧品香料としては高級調合香料から室内芳香剤、せっけん香料まで幅広く使用されている。またバニラとの組み合わせによるフレーバーとして重要である。
[佐藤菊正]
3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド,ヘリオトロピンheliotropinともいう。天然にはバニラ,ニセアカシア,ヤマグルマ,カワミドリなどの植物に少量含まれる。ヘ(ン)リオトロープ様の甘い香気をもつ。白色の結晶で,沸点144~145℃(14mmHg),融点37℃,アルコール,エーテル,ベンゼン等に可溶,水には難溶。熱,光で変質する。合成法としては,サフロールを異性化してイソサフロールとし,さらに二クロム酸カリウム,硫酸で酸化して合成する。またカテコールからの合成法もある。ピペロナールはヘリオトロープ系香料の調合基剤として重要で,ミモザ,スイートピー,ライラック,カーネーション等の調合香料として,また各種食品用フレーバーとして多用され,セッケン,香粧品の香料,室内芳香剤,医薬品原料,ストリキニーネの解毒剤などにも用いられている。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
3,4-methylenedioxybenzaldehyde.C8H6O3(150.14).ヘリオトロピンともいう.バラ科やマメ科植物の花精油に少量存在する.サッサフラス油の主成分イソサフロールを酸化してつくる.ヘリオトロープに似た芳香をもつ.融点37 ℃,沸点263 ℃.有機溶剤に可溶,水に難溶.せっけんの香料,そのほか一般香料,有機合成原料に広く用いられる.有用な揮発保留剤,調和剤である.LD50 2700 mg/kg(ラット,経口).[CAS 120-57-0]
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