ふたご座(読み)ふたござ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ふたご座」の意味・わかりやすい解説

ふたご座
ふたござ / 双子座

冬の宵、ほとんど頭上に見える星座。黄道十二星座の一つで、双子宮(そうしきゅう)(双児宮(そうじきゅう))。目につくのは1.6等星のカストルと1.2等星のポルックスで、この二つの輝星が、白鳥に化けた大神ゼウスがスパルタ王妃レダに生ませたふたご兄弟カストルとポルックス(ポリデウケス)を表している。ギリシア神話中では、カストルは拳闘(けんとう)の名手、ポルックスは乗馬の名手として武名をとどろかせている。小望遠鏡での見ものはカストルのほうで、気流の落ち着いた夜に高倍率でのぞくと、2.0等星と2.9等星の二つの明るい星がぴったりくっつき合った二重星であることがわかる。カストルの足元にある散開星団M35は双眼鏡でもわかる美しい星の集まりである。

[藤井 旭]

『ヴォルフガング・シャーデヴァルト著、河原忠彦訳『星のギリシア神話』新装版(1988・白水社)』『藤井旭著『冬の星座』(1988・金の星社)』『林完次著、佐々木悟郎絵『おはなし星座館「冬」』(1992・ぎょうせい)』『小野塚友吉著『星になったギリシア神話』(2000・エール出版社)』『藤井旭著『秋・冬星座図鑑――もっと知りたい秋・冬の星座』(2002・偕成社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「ふたご座」の意味・わかりやすい解説

ふたご(双子)座 (ふたござ)
Gemini

略号はGem。黄道星座の一つ。オリオン座の北東に位置し,現在夏至点がある。α星カストル,β星ポルックスから天の川にむかってつづく1対の星列は,ギリシア神話のふたご兄弟の英雄カストルとポリュデウケスの姿を描く。α星カストルは光度1.6等,ともにA型星の二重星で,公転周期340年の連星系である。しかもカストルA星は周期9.2日,カストルB星は周期2.9日の分光連星で,しかもこれに近接したカストルCも周期0.8日の分光連星であり,これはまた赤色矮星(わいせい)の変光星YYGemと呼ばれ,カストル星全体では六重星となる。β星ポルックスは光度1.1等,スペクトル型K0型の巨星である。この星座の東端にある銀河星団M35(NGC2168)は光度5.3等で肉眼で所在を確かめることができる。星座の概略位置は赤経7h0m,赤緯+22°。午後8時の南中は3月上旬である。
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百科事典マイペディア 「ふたご座」の意味・わかりやすい解説

ふたご(双子)座【ふたござ】

3月上旬の夕方,南の中天高く見える星座。近接して並ぶα星カストルとβ星ポルックスを双子の兄弟に見立てたもの。十二宮の第3宮で夏至(げし)点がある。
→関連項目ディオスクロイ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ふたご座」の意味・わかりやすい解説

ふたご座
ふたござ
Gemini

双子座。3月の宵に南中する北天の星座。概略位置は赤経7時,赤緯 22°。α星 (カストル ) は6個の星から成る複雑な分光連星として知られ,β星 (ポルックス ) は1等星でα星より明るい。U星は特殊な爆発型の変光星として知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のふたご座の言及

【双子】より

…双生児ともいう。1回の分娩で2子が生まれること。
【医学からみた双子】
 双子を妊娠していることを双胎妊娠といい,また2人以上を妊娠しているとき多胎妊娠という。双胎妊娠の頻度は世界的にみて平均すると約80回の妊娠に1回といわれているが,民族や地域によって多少の差があり,北欧のデンマーク,スウェーデンでは1.5~1.6%と多く,南米諸国,ベトナム,中国ではずっとその頻度が少なくなる。日本ではちょうど中間くらいで,約1%とされている。…

※「ふたご座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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