紋織物(読み)モンオリモノ

デジタル大辞泉 「紋織物」の意味・読み・例文・類語

もん‐おりもの【紋織物】

平織り斜文織り繻子しゅす織りなど各種の組織を組み合わせ、また色糸を使って文様を織り出した織物総称

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改訂新版 世界大百科事典 「紋織物」の意味・わかりやすい解説

紋織物 (もんおりもの)

染文様に対し,〈織〉によって文様をあらわした織物の総称。英語のfigured fabricに相当する語意で,緞子(どんす),綸子(りんず),唐織厚板(あついた),金襴繻珍(しゆちん)などがこれに属する。大別すると綾,緞子,綸子のように,地組織をなす経緯糸と,文様となる経あるいは緯糸が,同一の糸によって組織されるもの,すなわち文様が地合いと異組織であらわされているものと,錦,唐織などのように,地組織をなす経緯糸に,別の彩糸を加え,それらの彩糸によって文様をあらわしたものとがある。前者綜絖枚数の少ない高機(たかばた)によっても製織可能であるが,後者はさらに複雑な空引(そらひき)機やジャカードのような織機を必要とする。紋織物が以上のような紋機によって織製される場合,普通一定の窠(か)間幅(文幅)と文丈があり,その1単位の文様が反復・連続して斉一に織り表されることを原則とする。しかし紋上げ機構のない原始織機で,綜絖を使わず,絵緯(えぬき)を織り込むさい,そのつど経糸を篦(へら)ですくって製織した場合には,一定のパターンのくり返しのない紋織も可能で,インドネシアの島々ではそうした紋織物もつくられている。素材は絹に限らず木綿,麻,毛およびその交織化学繊維がある。
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百科事典マイペディア 「紋織物」の意味・わかりやすい解説

紋織物【もんおりもの】

模様を織り出した織物の総称。各種組織を組み合わせたり色糸によって模様を表す。総紋,飛紋,縫取紋などがある。綴錦(つづれにしき)のように手工芸的に織るものもあるが,普通はジャカード機を用いる。装飾的な布地で特に絹織物が多い。金襴(きんらん),緞子(どんす),紋羽二重紋御召紋ビロードなどがある。
→関連項目空引機ダマスク

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紋織物」の意味・わかりやすい解説

紋織物
もんおりもの

種々な組織を組み合わせ、また色糸を使用して複雑な紋柄を織り出した織物の総称。一つの柄模様が経緯(たてよこ)糸とも40本以上数千本のものもあり、多くは色糸を使って、織物表面に美しい柄模様を出したもので、別名ジャカード織物ともいう。たとえば紋羽二重(はぶたえ)、紋お召(めし)、紋縮緬(ちりめん)、緞子(どんす)、朱珍(しゅちん)、金襴(きんらん)、ダマスク、ネクタイ地など種類が多い。昔わが国では空引機(そらひきはた)(中国より伝来、明治期に衰退した)で織られ、非常に芸術性の高度なものもあるが、明治期に入って京都西陣(にしじん)にジャカード機がフランスより導入され、高価であった紋織物も庶民のものとなった。

[並木 覚]

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