ベッドフォード(その他表記)Bedford

翻訳|Bedford

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベッドフォード」の意味・わかりやすい解説

ベッドフォード
Bedford

イギリスイングランド中南部の都市。単一自治体(ユニタリー unitary authority)。大部分が旧ベッドフォードシャー県に属するが,一部ハンティンドンシャー県に属していた地域も含む。2009年にベッドフォードシャー県がベッドフォードとセントラルベッドフォードシャーに分割されて単一自治体となった。ロンドンの北北西約 80km,ウーズ川肥沃な谷に位置する。ベッドフォードは 571年の記録に初めて現れ,のちデーン人の町として発展したが,914年アングロ・サクソンのエドワードに奪回され,この地方の行政中心地となった。最初の勅許状はヘンリー2世在位 1154~89)によって与えられた。商工業中心地でポンプ,ディーゼルエンジン,タービン,農業機械などの工業がある。ベッドフォード以外は肥沃な農業地帯で,コムギ栽培が盛んなほか,牛乳や野菜をロンドンへ出荷する。ベッドフォードの北のウーズ川河谷から産出する石灰岩は,かつてこの河谷の村々の主要な建築資材であった。ベッドフォードの南西郊外には大規模な煉瓦工場がある。ケンプストンではクレヨン製造などの軽工業も行なわれる。南郊のエルストーは『天路歴程』の著者ジョン・バニヤン生地で,町にはバニヤン・ミーティングハウス,バニヤン博物館などがある。単一自治体面積 476km2。単一自治体人口 15万8000(2009推計)。

ベッドフォード(伯・公家)
ベッドフォード[はく・こうけ]
Bedford, Earls and Dukes of

イギリスの貴族家柄。 16世紀以降ラッセル家が保有。ヘンリー5世の弟で,百年戦争に活躍し,ジャンヌ・ダルクを引取って裁判に付したジョン・オブ・ランカスター (1389~1435) が,1414年公爵に叙せられ,次いでヘンリー7世の叔父ジャスパー・チューダー (31?~95) が,85年同じく公爵を授けられたが,続かなかった。ジョン・ラッセル (86頃~1555) は,「恩寵の巡礼」の鎮圧に功をあげ,枢密顧問官 (38) ,海軍長官 (40~42) などを歴任し,1549年西部地方の反乱の鎮圧に尽した功により,翌 50年伯爵を授けられた。その子の2代フランシス (27?~85) はエリザベス1世時代に枢密顧問官やウェールズ長官をつとめた。4代フランシス (93~1641) は,チャールズ1世に批判的で,清教徒革命前夜に枢密顧問官として国王派と議会派の調停に努力する一方,フェンランドの排水事業やロンドンのコベントガーデン広場造営に力を注いだ。その子の5代ウィリアム (13~1700) は,長期議会の議員になり,清教徒革命には議会派将校として戦った。共和制時代には父の排水事業を推進。名誉革命後,枢密顧問官になり,1694年初代公に叙せられた。その孫の4代ジョン (10~71) は R.ウォルポール反対派で,彼の失脚後,H.ペラムビュート (伯),G.グレンビル各内閣の閣僚をつとめ,またアイルランド総督 (56~57) や枢密院議長 (63~67) にも就任。その孫の5代フランシス (65~1802) は農業改良に関心をいだくとともに,ロンドンにラッセル広場,タビストック広場を造営。彼の弟の6代ジョン (1766~1839) も農業,芸術,博物に造詣深く,コベントガーデン市場の再建をはかったが,政治生活では枢密院議員,アイルランド総督などをつとめた。現在の 13代は,邸宅ウーバーンアベーを一般公開するなど,積極的な領地経営で注目されている。

ベッドフォード
Bedford

アメリカ合衆国,インディアナ州南部の都市。美しい大理石の産地として知られる。鋳物工場,衣料工場などもある。人口1万 3817 (1990) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベッドフォード」の意味・わかりやすい解説

ベッドフォード
べっどふぉーど
Bedford

イギリス、イングランド南東部、ベッドフォードシャー県の県都。人口14万7913(2001)。ウーズ川が市の中心部を流れる。ローマ時代に起源をもつ古い市場町で、現在は農機具、航空機、電気機器などの工場がある。この町のグラマー・スクールの創設者W・ハーパーや宗教作家J・バニヤンゆかりの旧跡や施設が多く、1552年創立のベッドフォード・スクールはイングランド最大級のパブリック・スクールの一つである。市内にはローマ時代の遺跡や中世の教会のほか、図書館、博物館がある。

[井内 昇]

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