日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホフスタッター」の意味・わかりやすい解説
ホフスタッター
ほふすたったー
Robert Hofstadter
(1915―1990)
アメリカの物理学者。ニューヨーク州立大学で学び、1938年プリンストン大学で学位を得た。1939年からペンシルベニア大学研究員として原子核研究用のバンデグラーフ装置の建設に従事した。またこのとき知り合ったシッフLeonard Isaac Schiff(1915―1971)とは、同僚・友人として長いつきあいとなった。第二次世界大戦中は国立標準局(現、国立標準技術研究所)、ノルデン研究所に勤務。戦後、プリンストン大学を経て、1950年スタンフォード大学準教授となり、建設中の線形加速器を用いて高エネルギー電子散乱の実験にとりかかった。1954年からは陽子と中性子に関する研究に携わったのち、大改造された線形加速器を用いて、核子の形状因子の測定をはじめ、新たな素粒子を発見するなど核物理学、素粒子物理学の発展に貢献した。「原子核による電子の散乱の研究、核子の構造に関する発見」により、1961年ノーベル物理学賞を受けた。γ(ガンマ)線の共鳴吸収を研究し、「メスバウアー効果」を発見したメスバウアーとの同時受賞であった。
[小林武信 2019年1月21日]
『牟田泰三訳「原子核の電子散乱の研究と構造に関する発見」(ノーベル財団著、中村誠太郎・小沼通二編『ノーベル賞講演 物理学9』所収・1979・講談社)』