ラビン(その他表記)Rabin, Yitzhak

デジタル大辞泉 「ラビン」の意味・読み・例文・類語

ラビン(Yitzhak Rabin)

[1922~1995]イスラエル政治家、第6代、11代首相。在任1974~1977、1992~1995。イスラエルとアラブ和平を推進し、1993年にはオスロ合意調印。1994年にはヨルダンとの間に平和条約締結同年アラファトペレスとともにノーベル平和賞を受賞した。1995年、和平反対派の青年に銃撃され死亡

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラビン」の意味・わかりやすい解説

ラビン
Rabin, Yitzhak

[生]1922.3.1. エルサレム
[没]1995.11.4. テルアビブ
イスラエルの軍人,政治家。農学校で学んだあと,イスラエル国防軍の前身ハガナーの戦闘部隊で活躍。 1948年のパレスチナ戦争 (第1次中東戦争 ) ではエルサレム地域で戦い,56年にはイスラエル国防軍北部方面司令官に就任。 64年に参謀総長となり,67年の六日戦争 (第3次中東戦争) を M.ダヤン国防相とともに指揮。 68年に退役し,73年までアメリカ駐在大使。 73年 12月の総選挙でイスラエル労働党所属の国会議員に選ばれ,労相に就任。 74年6月,G.メイヤー首相のあとを継いで首相に就任。 77年5月の総選挙前の労働党党首選挙で S.ペレス国防相に党首の座を奪われ,総選挙でもリクード敗退。 84年7月の総選挙後成立した労働党とリクードとの大連立政権では国防相に就任。 90年3月の連立政権の崩壊により,再び野党議員。 92年2月の労働党党首選挙でペレスを破り,15年ぶりに党首の座に返り咲く。6月の総選挙で第1党となり,7月に中道・左派連立政権の首相に就任。リクード政権時代に推進された占領地への入植地建設政策を見直し,またパレスチナ解放機構 PLOとの接触を禁じた反テロリスト法 (85制定) を改正。 93年9月,PLOの Y.アラファト議長との交換書簡により PLOとイスラエルの相互承認を実現,パレスチナ暫定自治協定調印に導いた。 94年中東和平での歴史的和解への道を開いたとして,ペレス,アラファトとともにノーベル平和賞を受賞。 95年 11月,テルアビブで開かれた中東和平の平和集会会場で,和平路線に反対する極右ユダヤ人青年の凶弾に倒れる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラビン」の意味・わかりやすい解説

ラビン
らびん
Yitzhak Rabin
(1922―1995)

イスラエルの軍人、政治家。エルサレムに生まれ、カドーリー農業学校卒業。1940年ユダヤ人自衛組織ハガナのゲリラ部隊パルマッハに参加し、1944年以降イギリス委任統治政府に対する地下抵抗運動を行う。1947年パルマッハ副司令官となり、1948年の独立戦争ではエルサレム戦線を指揮した。1949年ロードス島での休戦交渉ではイスラエル代表団の一員。1953年イギリス陸軍大学卒業。北部方面司令官、参謀次長を経て、1964年参謀総長に就任し、1967年の第三次中東戦争でイスラエル軍を指揮した。1968年に退役してから1973年まで駐米大使。その後、連合党から国会議員に当選し、1974年3月ゴルダ・メイア内閣の労相に就任。1974年5月~1977年4月労働党党首。また、1974年5月~1977年6月首相。1992年より再び首相、中東和平への貢献で1994年ノーベル平和賞受賞。1995年テル・アビブで開かれた中東和平集会の際にユダヤ人青年によって暗殺された。

[伊能武次]

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百科事典マイペディア 「ラビン」の意味・わかりやすい解説

ラビン

イスラエルの軍人,政治家。エレサレム生れ。イスラエル軍参謀総長などをへて1973年国会議員に初当選。労働党党首として同国首相(1974年―1977年)。国防相(1984年―1990年)をへて1992年再び首相。マドリード和平プロセスの中で〈領土と平和の交換〉の原則を守り,PLO(パレスティナ解放機構)とのパレスティナ暫定自治合意(1993年),ヨルダンとの和平条約締結(1994年)と中東和平推進に努め,1994年PLOのアラファート議長らとともにノーベル平和賞。しかし,1995年11月和平路線に反対するユダヤ教極右の若者に暗殺された。
→関連項目イスラエル労働党

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