改訂新版 世界大百科事典 「ルベーグ」の意味・わかりやすい解説
ルベーグ
Henri Lebesgue
生没年:1875-1941
フランスの数学者。ボーベイに生まれ,エコール・ノルマル・シュペリウールに学び,1920年パリ大学教授,21年コレージュ・ド・フランス教授,翌年アカデミー・デ・シアンス会員に選ばれた。1902年に発表された論文は《積分,長さ,面積》と題し,これらの概念を自然な着想で精密に分析し,それまでのリーマン積分を今日,ルベーグ積分と呼ばれているものに発展させた。これはニュートン,ライプニッツ以来の微分積分法を,項別微分定理,項別積分定理および二重積分と反復積分との同等性を保証するフビニの定理などによって,微積分を自在に駆使できるようにしたもので,その功績は真に大きい。ルベーグ積分の出現は,20世紀のいわゆる実関数論の成立を促し,フーリエ級数論,ポテンシャル論などすべてその影響を受けた。他に位相幾何学,解析学全般で重要な多くの業績がある。
執筆者:吉田 耕作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報