レンテンマルク(読み)れんてんまるく(英語表記)Rentenmark ドイツ語

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レンテンマルク」の意味・わかりやすい解説

レンテンマルク
Rentenmark

ドイツのレンテン銀行が,1923年 11月 15日から発行した同行銀行券。第1次世界大戦中から始ったドイツのインフレーションを押えることを目的として,23年 10月 15日レンテン銀行がつくられた。同行は農業者から土地債務証券を,商工業者から債務証書を出資金として調達し,これらを見返りとして金マルク表示のレンテン債券を発行した。この債券を兌換準備としてレンテンマルクが発行されたが,(1) レンテンマルク戦前の金マルクと同一の価値を有するとされたこと,(2) 政府および民間貸出しに上限を設けたこと,(3) レンテンマルクが土地債務を基礎においていたこと,(4) 政府に対する貸付金のうち3億レンテンマルクによって,ライヒスバンクに割引させていた大蔵省証券をすべて償還させたことなどのため,レンテンマルクの対ドル価値は,1ドル=4.2レンテンマルクときわめて安定した推移を示した。このようにレンテンマルクが当時のドイツの破局的インフレを抑制したことが,24年の対独賠償問題の解決にも役立ったが,同時に金本位制復帰への基礎を築いたともいえる。こうしたことから,しばしば「レンテンマルクの奇跡」として,インフレ収束に果した同通貨の役割が高く評価されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レンテンマルク」の意味・わかりやすい解説

レンテンマルク
れんてんまるく
Rentenmark ドイツ語

第一次世界大戦後、ドイツは激しいインフレーションにみまわれ、1923年秋にはその頂点に達した。このような状況に対処するため、同年10月レンテンバンクを設立し、土地を裏づけとした債券を発行、それをもとにして銀行券を発行した。これがレンテンマルクであり、1レンテンマルクは当時流通していた紙幣マルクと1対1兆の割で交換された。

 この措置により、インフレーションは収まり、惨憺(さんたん)たる下落を示していた為替(かわせ)相場は、1米ドル=4.20マルクの旧金平価に回復した。これを「レンテンマルクの奇跡」という。

[原 信]

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