惨憺(読み)サンタン

デジタル大辞泉 「惨憺」の意味・読み・例文・類語

さん‐たん【惨×憺/惨×澹】

[名・形動]いたましいこと。なげかわしいこと。また、そのさま。
「一朝爆発した其跡は実に―を極めますナ」〈魯庵社会百面相
「形容するのが―な位に」〈葉山海に生くる人々
[ト・タル][文][形動タリ]
いたましくて見るに忍びないさま。見るも無残なさま。「―たる事故現場」「結果は―たるものであった」
心をくだき思い悩むさま。「―たる推敲すいこうの跡」「苦心―」
薄暗くて気味が悪いさま。
「余を…この―たる墓所に残して」〈透谷楚囚之詩
[類語]惨烈惨め悲惨凄惨暗澹残酷残虐残忍苛酷暴虐陰惨無残ひどむご惨たらしい痛ましい痛痛しい見るに忍びない目も当てられない血なまぐさい酸鼻冷酷冷血酷薄暴戻ぼうれい凄愴せいそう酷烈戦慄惨劇猟奇猟奇的嗜虐しぎゃく嗜虐しぎゃくすさまじいグロテスク阿鼻叫喚目を背ける

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精選版 日本国語大辞典 「惨憺」の意味・読み・例文・類語

さん‐たん【惨憺・惨澹】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動タリ )
  2. なげかわしく悲しいこと。また、そのさま。いたましくあわれなこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「春の明媚、秋の惨憺、帰雲抹靄、早晩の変」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)初)
    2. 「此惨憺たる殺戮を」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉五)
    3. [その他の文献]〔杜甫‐送従弟亜赴河西判官詩〕
  3. さまざまに心を悩ますこと。また、そのさま。心をくだいて思慮するさま。「苦心惨憺」
    1. [初出の実例]「裁賦既非玄虚筆、才短惨憺苦冥捜」(出典:六如庵詩鈔‐二編(1797)三・寄題波響楼)
    2. [その他の文献]〔杜甫‐丹青引贈曹将軍覇詩〕
  4. あたりがうす暗くなって、気味が悪く恐ろしい感じのするさま。
    1. [初出の実例]「詩人五六輩臨水檻而吟詠、峡雲惨憺想像巴州」(出典:明衡往来(11C中か)中末)
    2. [その他の文献]〔白居易‐渭邨退居寄礼部崔侍郎翰林銭舎人詩〕

惨憺の補助注記

「海に生くる人々〈葉山嘉樹〉二六」の「形容するのが惨憺な位に醜い女であった」のように「ナリ活用」と見られる例もある。

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