アンセルメ

百科事典マイペディア 「アンセルメ」の意味・わかりやすい解説

アンセルメ

スイス指揮者,音楽理論家。レマン湖畔のフランス語圏ブベー生れ。ローザンヌ大学とパリ大学で数学を修める一方,指揮法を学びジュネーブブロッホ師事。数学教師を務めたのち27歳で指揮者に転じる。ストラビンスキーディアギレフ親交を結び,1915年バレエ・リュッスの指揮者に就任。ディアギレフの死で同バレエ団が解散するまで,ストラビンスキーの《プルチネラ》や《結婚》,サティの《パラード》,ファリャの《三角帽子》など数多くのバレエの初演を手がけた。一方,1918年スイス・ロマンド管弦楽団を創設し,1967年まで常任指揮者を務め,同楽団を世界一流に育て上げた。同時代の作曲家たちに絶大な信頼をおかれたその明晰(めいせき)で色彩感にあふれる音づくりは,その後の指揮者・演奏家に大きな影響を与えている。1964年に初来日。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アンセルメ」の意味・わかりやすい解説

アンセルメ
Ernest Ansermet
生没年:1883-1969

スイスの指揮者。ローザンヌで数学教師をつとめるかたわら音楽を学び,1912年から指揮活動に入る。モントルー,ジュネーブで指揮,18年にジュネーブにスイス・ロマンド管弦楽団を創立してその常任指揮者となる。それと並行して1915-30年,ディアギレフの率いるバレエ・リュッスの指揮者をつとめ,現代作曲家とくにストラビンスキーに高く評価された。彼の指揮は客観主義立場をとり,ドイツ・ロマン主義の主情的表現を徹底的にオーケストラから追放して,明晰(めいせき)なリズムと色彩の美を追求した。作曲,音楽に関する著作もある。64,68年に来日した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンセルメ」の意味・わかりやすい解説

アンセルメ
あんせるめ
Ernest Ansermet
(1883―1969)

スイスの指揮者。初め数学者を志したが指揮に転じ、1915~1930年ディアギレフ・バレエ団の指揮者。1918年にスイス・ロマンド管弦楽団を創立、1967年までその指揮者を務め、このオーケストラを世界的な地位に引き上げた。1964年(昭和39)N響客演、1968年スイス・ロマンド管弦楽団の初来日に同行している。アンセルメは20世紀の作品に大きな関心をもち、多くの作品を初演、その普及に大きな役割を果たし、「バレエ音楽の神様」ともよばれた。オネゲル、ストラビンスキー、ラベル、デ・ファリャなどが作品をアンセルメに捧(ささ)げている。

[岩井宏之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンセルメ」の意味・わかりやすい解説

アンセルメ
Ansermet, Ernest

[生]1883.11.11. ベベイ
[没]1969.2.20. ジュネーブ
スイスの指揮者。ローザンヌ大学で数学を学び,教鞭をとったのち指揮者に転向。 1912年モントルーでデビュー。 15年以降 S.ディアギレフのバレエ・リュスで指揮者をつとめる。 18年スイス・ロマンド管弦楽団を創立,世界一流の楽団に育てた。現代音楽の指揮者として定評があり,現代のバレエ音楽,フランス,スペイン音楽が得意。文筆活動でも知られる。 64年来日。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアンセルメの言及

【ジャズ】より

…ジャズで踊るために生まれた4/4拍子のステップで,1910年代の半ばアメリカで流行し,直ちにヨーロッパへも伝えられ,これによってジャズ・バンドの渡欧もさかんになった。スイスの指揮者アンセルメは,19年ウィル・マリオン・クックWill Marion Cookの黒人ダンス・バンドで,シドニー・ベシェCidney Bechet(1897‐1959)のクラリネットを聞いた感動を《レビュー・ロマンデ》に寄稿,この一文は世界最初のジャズ評論となった。ベルギーの弁護士で詩人のロベール・ゴファンRobert Goffinの著書《ジャズの辺境》(1932),フランスの評論家ユーグ・パナシエHugues Panassiéの著《ホット・ジャズ》(1934。…

【スイス・ロマンド管弦楽団】より

…1918年アンセルメによってジュネーブで結成された楽団。38年にはローザンヌ放送管弦楽団を吸収し,発展した。…

※「アンセルメ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android