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[前期旧派]
前期旧派(前期古典派)は,18世紀末から19世紀初頭にかけて,市民社会の成立期にイタリアのベッカリーア,ドイツのP.J.A.vonフォイエルバハらによって形成・展開された。その特色は,国家刑罰の根拠と限界を社会契約説によって基礎づけることから出発して,罪刑法定主義の確立,刑法と宗教・道徳の峻別,一般予防的目的刑論,犯罪と刑罰との均衡が必要であるという意味での相対的応報刑論,客観主義の犯罪論を主張したことにあった。アンシャン・レジームの刑事法制度が,王権神授説に結びつく贖罪応報思想と絶対王政の権威を示す威嚇刑思想を基礎に,罪刑専断主義,刑法と宗教・道徳との不可分性,身分による処罰の不平等性,死刑と身体刑を中心とする刑罰の過酷さを特色としていたのに対して,前期旧派は,それを根本的に改革するために,刑事法制度を宗教と王権の権威から解放し,人間の合理的理性と功利主義的思考によって基礎づけようとしたのであった。…
※「客観主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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