アン(読み)あん(その他表記)Anne

翻訳|Anne

デジタル大辞泉 「アン」の意味・読み・例文・類語

アン(Anne)

[1665~1714]英国の女王。在位1702~1714。ジェームズ2世の次女。その治世下に、イングランドスコットランドが合同しグレートブリテン王国が成立。

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精選版 日本国語大辞典 「アン」の意味・読み・例文・類語

あん

  1. 〘 感動詞 〙
  2. 相手に念を押したり、同意を求めるときのことば。
    1. [初出の実例]「お前もうまいことやれや。あん」(出典:綿(1931)〈須井一〉五)
  3. 相手のあいさつや話に軽く応じるときのことば。
    1. [初出の実例]「彼はそこで会ふ大抵の人に、『あン』と云って一寸頭を動かせばよかった」(出典:医師高間房一氏(1941)〈田畑修一郎〉一)

あん

  1. 〘 接尾語 〙 ( 「はん」の変化した語 ) 人名などについて、軽い敬意を表わす。さん。大阪の遊里の語。
    1. [初出の実例]「ヲヲすかん、仁三あんきてかいな〈様ンをアンといふ〉」(出典:洒落本・睟のすじ書(1794)百目つかひ)

あんの語誌

関東では「さん」が前に促音をとってツァンのように発音されることが多くなるが、関西では「はん」を使い、それが遊里語としてアンと発音されたものと思われる。


あん

  1. 〘 連体詞 〙 「あの」が変化した語。ののしっていう場合などに用いる。「あん畜生」
    1. [初出の実例]「何故って、お前(めえ)、あん獣(けだもの)ァ」(出典:婦系図(1907)〈泉鏡花〉前)

アン

  1. ( Anne ) イギリス女王(在位一七〇二‐一四)。ジェームズ二世の末娘。スチュアート朝最後の君主。その治世に大ブリテン連合王国の名でイングランドとスコットランドを合併。政党政治責任内閣制の発展をみた。(一六六五‐一七一四

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アン」の意味・わかりやすい解説

アン(女王)
あん
Anne
(1665―1714)

イギリス国王(在位1702~1714)。ジェームズ2世の末娘。姉メアリーとともにプロテスタントの教育を受け、1683年デンマーク王子ジョージGeorge(1653―1708)と結婚。名誉革命に際しては父を見捨て義兄ウィリアムを支持し、権利章典によって次期王位継承者と決定された。熱烈なイングランド教会擁護者で即位後は下賜金を与えて国教会財政の援助を図り、政治的にも国教会に近いトーリー党を支持したが、国王としての決断力に乏しく、宮廷内の女官や相談役に判断を仰ぐことが多かったため、治世を通じて政局は安定しなかった。対外的には前王の反フランス政策を継承し、名将マールバラ公を登用してスペイン継承戦争を戦った。1707年のイングランドとスコットランドの合同により「グレート・ブリテン王国」初代の国王となったが、子がすべて夭逝(ようせい)し、死後ドイツハノーバー家に王位が移り、スチュアート朝最後の国王となった。

[大久保桂子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アン」の意味・わかりやすい解説

アン
Anne

[生]1665.2.6. ロンドン
[没]1714.8.12. ロンドン
イギリス女王 (在位 1702~14) 。ジェームズ2世の末娘で母はハイド家のアン。姉メアリーとともに新教の教育を受け,1683年デンマーク王子ゲオルクと結婚したが,子供はすべて夭折。 88年の名誉革命に際して父王を批判して姉とその夫ウィリアム (3世) の側につき,1702年姉の跡を継いで即位。 07年スコットランドと合併して大ブリテン連合王国を創建し,またマールバラ (公)・ジョン・チャーチルの活躍によってスペイン継承戦争に勝ち,13年ユトレヒト条約を結んだ。その治世には,A.ポープ,D.デフォー,J.スウィフト,J.アディソン,R.スティールらの文学者が輩出して,英文学史上「オーガスタン時代」と呼ばれる。彼女をもってスチュアート朝は絶え,その死後はハノーバー朝となった。

あん

餡。大豆,落花生以外の雑豆およびさつまいも,じゃがいもなどに砂糖や飴を加えて煮つめた甘味食品。中国生れで,南北朝時代に宋人によってもたらされた。和生菓子,特に饅頭 (まんじゅう) ,羊羹 (ようかん) などに必須の材料である。原料豆により赤あん (小豆,そら豆など赤みを帯びた豆でつくる) ,白あん (オオテボウ,ライマービンなど白い豆から製造したもの) の2種に大別され,また加工程度によりさらしあん,練りあん,小倉あん,つぶしあんなどに分類される。また砂糖を加えていないものを生あん,砂糖を加えたものを練りあんと呼ぶ。

アン[ボヘミア]
Anne of Bohemia

[生]1366
[没]1394
イングランド王リチャード2世の最初の妃。ボヘミアの父と呼ばれた神聖ローマ皇帝カルル4世の娘。 1382年結婚。この結婚を機に J.ウィクリフの著作がボヘミアで読まれるようになり,宗教改革運動に影響を与えた。

アン[デンマーク]
Anne of Denmark

[生]1574.12.12.
[没]1619.3.2.
イングランド王ジェームズ1世 (スコットランド王として6世) の妃。デンマーク王フレデリック2世の娘で,1589年スコットランド王であったジェームズと結婚。贅沢を好み,金銭を浪費して王の財政を圧迫した。チャールズ1世の母。

アン[クリーブズ]
Anne of Cleves

[生]1515.9.22.
[没]1557.7.16.
イングランド王ヘンリー8世の4番目の妃。ドイツのクレーベ (英語ではクリーブズ) 公ヨハンの娘。 1540年 T.クロムウェルの進言により,王と結婚したが,容姿が王の好みに合わず半年で離婚し,余生をイギリスで過した。

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百科事典マイペディア 「アン」の意味・わかりやすい解説

アン

英国女王(在位1702年―1714年)。スチュアート朝最後の君主。ジェームズ2世の末娘。母はクラレンド伯エドワード・ハイドの娘。姉メアリー2世と同じく新教の教育を受け,デンマーク王子と結婚。治世中スペイン継承戦争に勝ち,1707年スコットランドと合併してグレート・ブリテン連合王国を形成。子どもはすべて夭折したため,死後ハノーバー朝となる。
→関連項目ジョージ[1世]ブレニム宮殿

あん(餡)【あん】

豆類,芋類などを煮てすりつぶし,砂糖とごく少量の塩を加えたもので,おもに和菓子の材料とする。はじめは塩あんだったが,室町初期に砂糖が輸入され甘味のものとなり,江戸時代には砂糖あんが主になった。アズキあんが最も多く,小倉(おぐら)あんともいう。製法により,豆の形がやや残ったつぶしあん,皮をすっかり除いたこしあんなどがあり,砂糖を加えて練る前のを生あん,これを乾燥させたのをさらしあんという。また,白インゲンを用いた白あん,これにゆでた卵黄を加えた黄身あん,クリを加えたクリあん,白みそを加えたみそあんなどがある。

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デジタル大辞泉プラス 「アン」の解説

あん

2015年の映画。製作は日本、フランス、ドイツ。監督:河瀬直美、出演:樹木希林、永瀬正敏、市原悦子、内田伽羅ほか。小さなどら焼き屋で粒あん作りを任された元ハンセン病患者の女性の姿を描く。ドリアン助川の同名小説の映画化。

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367日誕生日大事典 「アン」の解説

アン(デンマークの)

生年月日:1574年12月12日
スコットランド王ジェームズ6世の妃,チャールズ1世の母
1619年没

アン

生年月日:1665年2月6日
イギリス,スチュアート朝最後の国王(1702〜14)
1714年没

アン(クレーヴズの)

生年月日:1515年9月22日
イギリス王ヘンリー8世の4番目の妃
1557年没

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栄養・生化学辞典 「アン」の解説

あん

 デンプンの多いマメを水と煮て糊化させたもの.糖を加えないものを生あん,加えたものを練りあんという.

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世界大百科事典(旧版)内のアンの言及

【クイーン・アン様式】より

…イギリスのアン女王の治世(1702‐14)にみられる美術・工芸様式。その特徴は前代のウィリアム・アンド・メアリー時代のオランダ・バロックの特質や,漆塗家具といった東洋趣味を引き継いではいるが,装飾は控え目で,シンプルな使い良い形態を目指している。…

【アヌ】より

…宇宙の3領域の天,空,地のうち天を支配する。アヌはシュメール語アンAnのセム語形。anは元来星形(アステリスク)*の字で,天,神を意味し,また神格決定詞として他の神名の前につけて用いられた。…

※「アン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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