イド(英語表記)id; Es

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イド
id; Es

エスともいう。 S.フロイトが提唱した精神分析の用語。精神分析では,人間の精神構造をイド,自我,そして超自我の3つの領域ないし機能に分けて考察する。そのうちイドは本能的衝動 (リビドー) の貯蔵所で,快感原則に従って快を求め不快を避ける機能を有するとされる。したがって自我や超自我と葛藤を起す。

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百科事典マイペディアの解説

イド

エスともいう。フロイトによって提唱された精神分析的人格構造論を構成する主要概念。自我超自我と並ぶ重要な要素である。その特徴は,本能衝動の種々の心的表象からなり,緊張解放のみを目的とする快楽原則に従い,その過程が意識されない点にある。この本能衝動は基本的に性衝動(リビドー)をさしている。フロイトは性衝動のほかに攻撃衝動をもイドに属するものとみなしたが,この考えは彼の後進者たちに必ずしも受け入れられていない。
→関連項目精神分析無意識

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世界大百科事典 第2版の解説

イド【id】

精神分析の用語で,超自我自我とともに人格を構成する三つの領域の一つとされ,ドイツ語エスEsともいう。イドは性衝動(リビドー)と攻撃衝動の貯水池で,完全に無意識であり,遺伝的要素を主としているが,いったん意識化され,のちに抑圧されて再び無意識となった後天的要素も含む。善悪や損得の認識を欠き,時間や空間のカテゴリーもなく,矛盾を知らず,ひたすら満足を求める盲目的衝動から成っている。したがって,イドはいっさいの構造を欠いた混沌の世界と言えるが,それは自我の観点から見てのことで,イドにはイドなりの構造があり,一次過程,快楽原則に支配されている。

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大辞林 第三版の解説

イド【id】

フロイトの精神分析の用語。リビドーと呼ばれる無意識的な心的エネルギーの源泉。快を求め不快を避ける快楽原則に従う。エス。 → リビドー

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世界大百科事典内のイドの言及

【自我】より

コギト【滝浦 静雄】
[精神分析における自我概念]
 常識的にいえば自我とは自分の存在そのもののことであるが,自我が個人の人格の一部に過ぎず,はじめから存在しているわけでもなく,いったん形成されたあとも分裂,拡散,崩壊する不安定なものであることを説くのが精神分析である。人間は生まれたときはイド(エス)だけであるが,イドの一部が外界と接し,自我となる。外界とはまず一般に母親であるが,自分について母親がもつイメージ,母親に規定された自分が自我の最初の核となる。…

【精神分析】より

…覚醒生活において無意識が露呈しないことはむしろ健康の印だが,精神分裂病においては,自我が著しく脆弱(ぜいじやく)化して抑圧がゆるむためにこの無意識が露出してくる。 フロイトは後年,意識の三層説をさらに発展させ,〈エス(イド)〉〈自我〉〈超自我〉という局所論的・構造論的な心的装置論を提出した。エスは生まれたばかりの新生児の未組織の心の状態であり,時空間を知らぬ本能のるつぼであり,快楽原則によって支配されている。…

【フロイト】より

… 1904‐20年にかけては13の精神分析技法論を発表し,精神分析療法の基本理念を確立する。エス(イド),自我超自我という三分割の心的装置論は,《集団心理学と自我の分析》(1921),《自我とエス》(1923)において展開され,自我の分析に比重が移っていく。《悲哀とメランコリー》(1917)と《制止・症状・不安》(1926)とは後期の臨床論文として重要である。…

※「イド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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