1950~70年代に存在したヒンズー至上主義政党の旧メンバーを中心に80年に結成。ヒンズー教に基づく社会を目指す組織「民族義勇団(RSS)」が支持母体。国民のヒンズー意識の高揚などを背景に89年の総選挙で躍進した。96年総選挙で第1党となり、第1次バジパイ政権が発足したが短期間で崩壊。98年に第2次バジパイ政権が成立し、04年まで続いた。核実験を実施したほか、経済成長や対中国、パキスタン関係改善などを実現した。(ニューデリー共同)
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1980年創設のインドの政党。略称BJP。1951年に民族義勇団Rashtriya Swayamsevak Sangh(RSS)を母体として結成されたジャン・サング(大衆連盟)党Bharatiya Jana Sanghが前身。同党は、77年、野党連合ジャナタ党に参加して一時政権についたが、政策上の不一致から離脱。80年、インド人民党(BJP)として再出発した。同党と強い結び付きをもつRSSは、19世紀末のインド独立運動初期に端を発し、ヒンドゥー社会の結束の強化を目ざす「サンガタン」(組織化)運動の流れをくむヒンドゥー勢力による活動団体である。RSSは1925年にヘードゲワルK. B. Hedgewar(1889―1940)によって創立され、48年1月のマハトマ・ガンディーの暗殺はその団員たちが計画実行したとされる。
インド人民党は、1984年の総選挙ではわずか2議席にとどまったが、その後、独立以来インド政治を担ってきた国民会議派の凋落(ちょうらく)と裏腹に党勢を伸ばし、89年に86議席、91年には120議席と議席数を増やし、96年の総選挙では161議席を獲得して初めて第一党となり、多党連立内閣を実現した。首班に指名された同党のバジパイは議会の信任を得られず、そのときはわずか13日間の短命内閣に終わった。しかし、98年の選挙では提携政党とあわせて225議席を確保して第一会派となり、99年4月まで政権を担当、同年の9月~10月の選挙でも国民会議派を抑えて与党連合と組み、バジパイ政権をふたたび樹立した。2004年5月のインド総選挙では、バジパイ率いるインド人民党は敗北、バジパイは首相を退任。かわって国民会議派が与党第一党となった。
インド人民党は、「総合的ヒューマニズム」を旗印とし、この基本的哲学に基づいてインドを強力な国にして、世界平和の実現に寄与することを目標に掲げる。また、内政上はインド憲法を遵守し、したがって国民の基本権と社会主義、政教分離主義、民主主義の諸原則を守ることを誓っている。しかし、1992年12月6日にインド中部のアヨーディヤーでヒンドゥー教徒ら約20万人がイスラム教寺院を破壊してイスラム教徒との対立を深めたアヨーディヤー事件の扇動、98年5月の核実験の強行など、同党のとった実際の行動は宗教的セクト主義、排外的民族主義の傾向が強く、その哲学と原則に基づく政策の立案と実施は、国民政党として同党が発展する上での緊急課題といえよう。
党組織としては、国、州、地方の各レベルで設けられ、各レベルに農民、指定カーストなどの大衆組織を付設している点、また党員資格として、党の哲学と諸原則を受け入れ、ほかの政党に所属しないインドの市民すべてに開かれている点が注目される。
[古瀬恒介]
『小川忠著『ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭――軋むインド』(2000・NTT出版)』▽『『アジア動向年報』各年版(アジア経済研究所)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(竹内幸史 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
1951年に民族奉仕団を母体としてつくられた大衆連盟(ジャン・サン〔グ〕)の後身。国民会議派政権に対抗するために77年に一時中道諸派政党と統合したが,80年には分離しインド人民党となる。ヒンドゥー民族主義を掲げ,強固な民族国家の設立をめざす。90年代にはインド北部・西部を中心に影響力を急速に広げ,98年および99年の総選挙後同党を中心とする連合政権を樹立した。98年5月には24年ぶりの核実験を行い,世界に衝撃を与えた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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