インプラント

デジタル大辞泉 「インプラント」の意味・読み・例文・類語

インプラント(implant)

移植の意》臓器疾病外傷によって機能を喪失したり欠損したりした場合、その機能を回復させるため生体内に埋め込む器具材料のこと。特に、顎骨がっこつ人工歯根を埋め込こんで、歯を回復させる治療法、また、その人工歯根をいう。インプラントの上に装着する人工歯まで含めていう場合もある。→デンタルインプラント

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百科事典マイペディア 「インプラント」の意味・わかりやすい解説

インプラント

歯を失った患者に対して行う治療法。〈人工歯根〉ともいう。チタンなどの金属アパタイトリン酸カルシウム)などの合成材料でつくられた歯根を,顎(あご)の骨に穴を開けて植え込み,接着後,上部構造と呼ばれる歯冠部をその歯根にかぶせるもの。一口インプラント義歯といっても,約30の種類があり,手術方法も異なる。自分の歯で噛(か)んでいるような感覚が得られ,外見も本物の歯のように見えることから,〈夢の永久歯〉〈第三の歯〉などとも呼ばれ,脚光を浴びた。 初期のころは失敗例も多く,医師と患者の間でトラブルもあったが,技術と材料の進歩により,安定した効果を得られるようになってきた。しかし,金属部が歯茎や骨と接続している部分が不潔になると,本物の歯のような生体防御反応が働かないために感染が広がり,インプラントが外れてしまうなど,問題が残されていることも事実。毎日,きちんと歯磨きができない人にはインプラントは適さない。また,顎の成長が続く子どもや歯を抜いたまま長時間放置したために顎の骨が痩せ細ってしまっている人,上顎奥歯の骨の薄くなっている部分や下顎の神経が通る穴の部分にはできないなどの制約もある。 日本の大学病院で最初にインプラント診療科を設けた日本歯科大学病院(東京都千代田区)では,1991年1月に同科を設立してから5年間で約1200人に上るインプラント希望者が来院したが,そのうち約300人が骨量不足や不正咬合のために不適応,約450人がブリッジや従来の補綴(ほてつ)治療で事足りたため,結局,実際にインプラント治療をした患者は約350人にすぎなかったという。 インプラント治療では通常,予備検査から実際にインプラント義歯をかぶせるまで,1年くらいの期間がかかる。虫歯歯槽膿漏などがあれば,さらに治療期間は長くなる。費用も高額で,国の高度先進医療の承認医療機関となっている日本歯科大学病院,東京医科歯科大学病院(東京都文京区)など,全国10の医療機関を除いて,インプラント治療を受けた場合には,まったく保険がきかず,全額自己負担となる(承認医療機関で治療を受けた場合は,高度先進医療部分以外の一般的な診療部分には健康保険が適用される)。インプラント義歯1本当り40万〜60万円くらいが相場といわれるが,検査から治療費まで,すべてが自己負担となるので,総額がいくらになるのか,事前に確認をしておくほうがよい。 それだけの高額をかけても,一生使えるわけではなく,10年間以上というのが,一応の目安となっている。10年間の定着率は約8割〜9割である。
→関連項目標榜診療科

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「インプラント」の意味・わかりやすい解説

インプラント
いんぷらんと
implant

生体の一部臓器が疾病や外傷により機能喪失あるいは欠損した場合、その機能を回復するため生体内に植え込む非生物材料のこと。一般的には失った自分の歯にかわって機能を営むように顎骨(がくこつ)に埋入(まいにゅう)される人工歯根のことをいう。材料としては組織親和性の高いハイドロキシアパタイトや、チタン(チタニウム)などの金属が用いられる。チタン製のインプラントを顎骨内に埋入する方法は、1952年スウェーデンのブローネマルクPer-Ingvar Brånemark(1929―2014)が拒絶反応を起こすことなく骨とチタンが半永久的に結合することを発見し、1965年人工歯根として初の臨床応用を行ったのがはじまりである。

 インプラント治療には、歯の抜けた部分の歯槽骨に人工の歯根を植え込む外科処置段階、インプラントが完全に周囲の顎骨組織と結合するための治癒段階(3~6か月を要する)、その後の補綴(ほてつ)物(継続歯、ブリッジあるいは義歯)製作段階がある。

[澤田健次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インプラント」の意味・わかりやすい解説

インプラント

人工歯根」のページをご覧ください。

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