ウォルトン(読み)うぉるとん(その他表記)Ernest Thomas Sinton Walton

デジタル大辞泉 「ウォルトン」の意味・読み・例文・類語

ウォルトン(Ernest Thomas Sinton Walton)

[1903~1995]英国の物理学者アイルランド生まれ。コッククロフトと共同で荷電粒子加速装置を作り、原子核を人工的に変換することに成功し、1951年にノーベル物理学賞を受賞。

ウォルトン(Izaak Walton)

[1593~1683]英国の伝記作家・随筆家。著「釣魚大全ちょうぎょたいぜん」は、英国随筆文学の代表作の一。

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精選版 日本国語大辞典 「ウォルトン」の意味・読み・例文・類語

ウォルトン

  1. ( Izaak Walton アイザック━ ) イギリスの随筆家、伝記作家。主著「釣魚大全」。(一五九三‐一六八三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォルトン」の意味・わかりやすい解説

ウォルトン(Ernest Thomas Sinton Walton)
うぉるとん
Ernest Thomas Sinton Walton
(1903―1995)

アイルランドの物理学者。アイルランド南海岸にあるダンガーバンで生まれる。牧師である父のために各地を転々とした。1922年ダブリンのトリニティ・カレッジに入り、数学と物理学の実験科学を専攻した。1926年卒業、翌1927年キャベンディッシュ研究所のE・ラザフォードのもとで仕事をするためにケンブリッジ大学へ行った。

 1919年ラザフォードがラジウムから放出されるα(アルファ)粒子を使って窒素の原子核変換をおこさせたのち、天然の放射線源を利用して多くの原子核実験が試みられた。しかし、天然の放射線源は強度が低く、そのエネルギーにも限界があったため、人工的に荷電粒子を高速度に加速する装置加速器)の開発が望まれた。ウォルトンは、初め間接的な方法で高速荷電粒子を生成する装置の研究を通してこの問題を追究した。コッククロフトと共同してからは、最初300キロボルトに加速した粒子の生成を目標としたが、コンデンサーと整流器を組み合わせた電圧増倍回路の使用によって、約10マイクロアンペアの強度をもつ粒子を約700キロボルトまで加速できた。この直接的な加速方法の装置を使用して1932年リチウム原子核の変換実験に成功した。この業績によりコッククロフトとともに1951年ノーベル物理学賞を受賞した。

[日野川静枝]


ウォルトン(Izaak Walton)
うぉるとん
Izaak Walton
(1593―1683)

イギリスの伝記作者、著述家スタッフォード生まれ。ロンドンで商人として成功し、また詩人や聖職者と親しく交わり、ジョン・ダン、ジョージ・ハーバート、そのほか3人の伝記を書いた。その際、労をいとわず資料を収集して正確な事実の記録に努め、推敲(すいこう)を重ねて文学としての完成を求めたが、有徳の人をたたえて教訓とする意図があって、古い聖徒伝の伝統から抜けきっていない。世俗の喧噪(けんそう)を離れて自然に親しむことを述べた有名な『釣魚大全(ちょうぎょたいぜん)』(1653)の著者でもある。

[平 善介]

『戸川秋骨著『ウォルトン』(1935、1980・研究社出版)』


ウォルトン(Sir William Walton)
うぉるとん
Sir William Walton
(1902―1983)

イギリスの作曲家。ランカシャーのオールダム生まれ。オックスフォードの聖歌隊学校に学んだが、作曲はほとんど独学といえる。弦楽四重奏曲(1922)、女流詩人イーディス・シットウェルの一連の詩に作曲した朗読とアンサンブルによる『ファサード』(1922)、序曲『ポーツマス・ポイント』(1925)などによって作曲家としての地位を確立。初期の作品にはかなり前衛的手法がみられるが、やがて新ロマン主義的作風を示す。代表作にはオペラ『トロイラスとクレッシダ』(1954初演)、オラトリオベルシャザールの饗宴』(1931初演)、2曲の交響曲、ビオラ協奏曲(1929)、映画音楽『ヘンリィ5世』『ハムレット』などがある。1951年ナイトの称号を受けた。

[寺田兼文]

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百科事典マイペディア 「ウォルトン」の意味・わかりやすい解説

ウォルトン

英国の作曲家。ランカシャー州(現グレーター・マンチェスター州)のオールダムに生まれ,作曲はほとんど独学で修めた。詩人E.シットウェルの邸宅に起居し,その詩に作曲した朗読と器楽アンサンブルのための《ファサード》(1922年)で一躍注目を集める。続いてヒンデミットの独奏により初演された《ビオラ協奏曲》(1929年,改訂1961年),オラトリオ《ベルシャザルの饗宴》(1931年),ハイフェッツの委嘱による《バイオリン協奏曲》(1938年)などで名声を確立。その後はL.オリビエ監督・主演の映画音楽なども手がけた。ほかに2つの交響曲(1935年,1960年)などが知られる。
→関連項目ピアティゴルスキー

ウォルトン

アイルランドの物理学者。ダブリン大学を出てキャベンディシュ研究所で研究。1932年J.D.コッククロフトとともに初めて人工加速粒子による原子核の人工破壊に成功,1951年ともにノーベル物理学賞。1934年ダブリン大学にもどり,1946年教授。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォルトン」の意味・わかりやすい解説

ウォルトン
Walton, Sir William (Turner)

[生]1902.3.29. ランカシャー,オルダム
[没]1983.3.8. イタリア,イスキア島
イギリスの作曲家。父に音楽を習い,10歳のときオックスフォードのクライスト・チャーチ合唱隊員となる。作曲はほとんど独学で,E.アンセルメや F.ブゾーニから若干の示唆を得たにすぎない。 1923年ザルツブルクで開かれた「国際現代音楽祭」で弦楽四重奏曲が入選。 26年チューリヒで初演された序曲『ポーツマス・ポイント』には,ジャズの影響もみられるが,のち次第にロマン的,抒情的な作風に転換した。作品に『ビオラ協奏曲』 (1929) ,劇的カンタータ『ベルシャザルの饗宴』 (29~31) ,オペラ,交響曲などがあるほか,映画音楽も多い。 51年ナイトの称号を受けた。

ウォルトン
Walton, Izaak

[生]1593.8.9. スタッフォード
[没]1683.12.15. ウィンチェスター
イギリスの随筆家,伝記作者。初めロンドンの金物商の徒弟となり,やがて独立して営業。ダンやウォットンなどの文学者や政治家と親しく,『ジョン・ダン伝』 (1640) ,『サー・ヘンリー・ウォットン伝』 (51) ,『リチャード・フッカー伝』 (65) などがあるが,釣り談義のうちに,田園生活の楽しさ,自然の美しさを語り,その間に詩や歌を挿入した『釣魚 (ちょうぎょ) 大全』 The Compleat Angler (53) が最も有名。

ウォルトン
Walton, Ernest Thomas Sinton

[生]1903.10.6. ウォーターフォード,ダンガーバン
[没]1995.6.25. ベルファスト
アイルランドの物理学者。ケンブリッジ大学に学び,ダブリン大学教授 (1947) 。 1927年キャベンディッシュ研究所で J.コッククロフトとともに研究を始め,31年直流高電圧装置 (→コッククロフト=ウォルトンの装置 ) で陽子を加速し,人工的に原子核を破壊することに初めて成功した。 51年ノーベル物理学賞受賞。

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