日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイフェッツ」の意味・わかりやすい解説
ハイフェッツ
はいふぇっつ
Jascha Heifetz
(1901―1987)
ロシア出身のアメリカのバイオリン奏者。サンクト・ペテルブルグ音楽院でアウアーに師事、1917年のロシア革命と同時に渡米、アメリカを本拠に世界各地に演奏旅行、同門のエルマン、ジンバリスト、ミルスタインの活動と相まって、ロシア派の名声を世界中に輝かせた。1923年(大正12)初来日。25年アメリカに帰化。切れ味鋭い技巧の持ち主で、それまでバイオリン演奏の主流を占めていたロマン的なリリシズムを投げ捨て、正確で緩みのない造形を重んじた新しい演奏スタイルを築き上げ、20世紀最大の巨匠とたたえられた。第二次世界大戦後はプリムローズやピアティゴルスキー、ルービンシュタインと組んで室内楽でも活動した。
[岩井宏之]