ウコギ(その他表記)Acanthopanax sieboldianus Makino

改訂新版 世界大百科事典 「ウコギ」の意味・わかりやすい解説

ウコギ (五加)
Acanthopanax sieboldianus Makino

日本では山村生垣などに植えられ,時には野生状となっているが,中国原産と考えられるウコギ科の落葉低木。ヒメウコギとも呼ばれる。高さ1~2m,多く分枝し,枝は針状のとげがあり,地についたところから根を出す。葉は5小葉があって毛がなく,長い葉柄がある。5~6月頃,短枝の先に長い柄のある散形花序を作り,淡緑色の小さい花を多数つける。新芽をつんで食用にする。根皮は五加皮(ごかひ)といい,薬用にする。ヤマウコギオカウコギ,ウラゲウコギ,ケヤマウコギ,ミヤマウコギなどが日本に分布し,丘陵山地の二次林の林床などに野生する。

 ウコギ属の多くの種の若芽は特有の芳香があって山菜として利用される。

双子葉植物でウドチョウセンニンジンなどを含む。約70属750種がある。常緑または落葉性の木本あるいは草本で,まれにつるになるものもあり,温帯から熱帯にかけて分布するが,特に熱帯地方に種類が多い。茎にはしばしばとげがあるものがある。葉は単葉または掌状,あるいは羽状の複葉で,互生または対生し,しばしば短枝の先に束生することがある。花は小さく,両性花または単性花で雌雄異株につくか,あるいは同じ株に生じ,散形花序または複総状花序を作る。萼および花弁はそれぞれ5枚が普通である。おしべは5本。めしべは1個で子房は下位,3~8室。花柱は子房の部屋の数と同数で離生するか,またはしばしば合生する。種子は子房の各室に1個ずつつく。セリ科にごく近縁である。精油を有し,芳香のあるものが多くウド,タラノキなどのように若芽を食用とするものがある。チョウセンニンジンのように薬用とするもの,ヘデラキヅタ)やヤツデなどのように観賞用植物として栽培されるものがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウコギ」の意味・わかりやすい解説

ウコギ
うこぎ / 五加木
[学] Eleutherococcus sieboldianus (Makino) Koidz.
Acanthopanax sieboldianus Makino

ウコギ科(APG分類:ウコギ科)の落葉低木。ヒメウコギともいう。高さ3メートル。枝は灰褐色で刺(とげ)があり、地表につくと根を出して新苗となる。葉は普通5枚の小葉からなる掌状複葉で、長さ3~10センチメートル、長い葉柄がある。小葉は鋸歯(きょし)があり、厚く無毛。花は5~6月、短枝の先に単生した径約2センチメートルの散形花序につき、淡黄色。雄しべ5本、子房は5~7室。花序の柄は葉柄と等長かあるいはより長い。雌雄異株。果実は球形で5~7稜(りょう)があり、黒く熟す。本州に野生化したものもみられるが、原産地は中国。名は中国名の五加の唐音ウコと木の日本読みギとからなる。生け垣としてよく植栽される。ウコギ属はアジア東・南部に固有で約40種からなり、日本には野生化したものも含め、8種がみられる。

[門田裕一 2021年11月17日]

 若芽はほろ苦味を有し、香りも強く、香味野菜として用いられ、ゆでて浸し物や和え物などにし、刻んで塩味をつけ、飯に炊き込む。葉は茶の代用にもなる。ウコギの根の皮をはぎ乾燥したものを五加皮(ウーチヤーピー)とよび、芳香を有し強壮剤として使われている。五加皮に多くの漢薬を混ぜてつくる中国の五加皮酒(ウーチヤーピーチウ)は、強壮滋養酒として昔から使われている。

[齋藤 浩・星川清親 2021年11月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウコギ」の意味・わかりやすい解説

ウコギ
Acanthopanax sieboldianus

ウコギ科の落葉低木で,ヒメウコギとも呼ばれる。中国原産であるが,生垣に植えられたものが野生化していることもある。枝は灰白色で鋭い針をもち,長枝と短枝の区別がある。葉は5小葉の掌状複葉,深緑色で長い柄があり,長枝には互生し,短枝では密生する。初夏,短枝の葉の間から長い柄のある半球形の散形花序を出し,多数の黄緑色の小花をつける。果実は球形の液果で黒く熟する。若葉はあえ物などにして食べ,またうこぎ飯にする。乾燥した葉は茶の代りとなる。根の皮を乾燥したものが生薬の五加皮 (ごかひ) で強壮剤として用いられ,また五加皮酒を造る。近縁のヤマウコギは北海道と本州に自生する。このヤマウコギを単にウコギと呼ぶこともあり,その場合は本種をヒメウコギといって区別する。

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百科事典マイペディア 「ウコギ」の意味・わかりやすい解説

ウコギ

ヒメウコギとも。中国原産の落葉低木。生垣に植えられ,野生化もする。枝はよく茂ってとげがあり,葉は掌状に5小葉に分かれる。初夏に葉腋に黄緑色で5弁の小花を散状につけ,花柱は5中裂する。雌雄異株で,日本ではふつう雌株しか見られない。新芽は食用,根の皮は五加皮(ごかひ)と呼ばれ,薬用,滋養強壮に用いられる。近縁で花柱が2個ある野生のヤマウコギと混同されることもある。

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