末端に反応性のエポキシ基を二つ以上有し,エポキシ基の開環重合によって硬化する熱硬化性樹脂。代表的なものはエピクロロヒドリンとビスフェノールAをアルカリの存在下で反応させて得られる。
重合度によって粘い液体から固体までいろいろな性状のものが得られるが,通常平均分子量400~600(重合度n=1~2)の液状のものが多い。実際の使用に際しては,この樹脂本体と硬化剤との2成分を直前に混合し,エポキシ基を開環重合させて三次元の網目構造を形成させることによって硬化させる。硬化剤としては,アミノ化合物,酸無水物,ルイス酸触媒(三フッ化ホウ素など)が用いられる。脂肪族アミンは反応性が速く,室温で硬化させることができるが,酸無水物や芳香族アミンでは加熱硬化させる必要がある。硬化エポキシ樹脂は,耐水性,耐熱性がよく,かつ電気絶縁性にすぐれ,電気部品に多く用いられる。また多くの物質に対してなじみがよく,成形収縮が少ないので,接着剤としてすぐれた特性を有する。さらに耐薬品性,防食性もすぐれているため,絶縁塗料,金属保護塗料としても用いられる(エポキシ樹脂塗料という)。
電気絶縁製品として用いるときは,型の中に樹脂と硬化剤を注入して硬化させる。複雑な回路や集積回路,コイル,コンデンサーを外部の湿気,温度から保護するために用いられるほか,ケース類にも用いられる。ガラスクロスに硬化剤とともにエポキシ樹脂を含浸させ,加熱・加圧してシートとしても用いられる。注型エポキシ樹脂の特性を表に示す。
接着剤として用いるときは,室温硬化型の硬化剤とエポキシ樹脂を混合して界面に塗布し,軽く圧力をかけるだけでよい。ただし最高接着強度を得るためには24時間ほどかかる場合も多い。ポリエチレンなどの特殊なもの以外にはよく接着し,鉄,鋼,アルミニウムなどの金属には2.0kgf/mm2程度,ガラス,木などには0.5~1.0kgf/mm2の接着強度を有する。
塗装用とするときには,耐薬品性向上,硬化促進のために不飽和脂肪酸で変性して用いることが多い。
執筆者:森川 正信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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1分子中にエポキシ基(オキシラン環)を2個以上含むプレポリマー,およびそれを硬化剤で硬化した樹脂の総称.大別すると,グリシジル型と非グリシジル型の二つに分かれる.おもにエピクロロヒドリンと多価フェノール類(ビスフェノールAなど)または多価アルコールとの反応,オレフィンのペルオキシ酸によるエポキシ化によって得られる生成物が用いられる.エポキシ化合物の製造は,たとえば,エピクロロヒドリンとビスフェノールを水酸化アルカリ存在下で反応させて行われる.硬化反応は有機ポリアミン,有機酸無水物,フェノール樹脂,ポリアミド樹脂などの硬化剤により,エポキシ基を開環させて行う.接着剤としてすぐれた特性を有し,注型品,積層材,ビニルポリマーの安定剤,コンクリートの改質剤などに用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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