造山帯に産出する特徴的な組み合わせをもった岩石の集合体で、橄欖岩(かんらんがん)あるいは蛇紋岩(じゃもんがん)などの超苦鉄質岩、斑糲岩(はんれいがん)、ドレライト(粗粒玄武岩)、玄武岩質枕状溶岩などの苦鉄質岩、そして珪質堆積(けいしつたいせき)物であるチャートなどからなるもの。この岩石の集合体が、蛇のような模様をした蛇紋岩を多く伴うことから、蛇の石を意味するophioliteと名づけられた。現在の海洋プレートでは、下位からマントル最上部の橄欖岩を主とする超苦鉄質岩、その上にモホロビチッチ不連続面を介して海洋地殻下部を構成する斑糲岩、地殻上部を構成するドレライトの岩脈群、そして厚い枕状溶岩がこの順番に重なっており、最上部の海底表層部に珪質堆積物が重なっている。そのため、現在、陸上で観察されるオフィオライトは、海洋プレート上部を構成していた岩石が、海洋プレートの沈み込みに伴って大陸プレート下底に付加したり、大陸プレート同士の衝突によってそれらの間に存在していた海洋プレートの一部が大陸プレート上にのし上げたりしたものと考えられている。オフィオライトが造山帯にのみ分布するのは、このようなプレート境界での付加や衝突現象が起こったからである。海外の例としては、オマーンやキプロスのオフィオライトなどが古くから知られている。日本でも兵庫県から京都府、福井県にかけての舞鶴(まいづる)帯に分布する夜久野(やくの)オフィオライトが知られており、これは超丹波帯(ちょうたんばたい)のペルム紀付加コンプレックスの上に衝上している。夜久野オフィオライトでは、超苦鉄質岩と苦鉄質岩の境界の露頭が確認されており、かつてのモホロビチッチ不連続面が地表に出現したものと考えられている。また、北海道の神居古潭(かむいこたん)帯の幌加内オフィオライト(ほろかないおふぃおらいと)や日高帯の幌尻オフィオライト(ぽろしりおふぃおらいと)は、衝突帯に分布するオフィオライトとして知られている。
[村田明広]
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造山帯に産出する超塩基性岩,塩基性層状分化岩,斑レイ岩,輝緑岩岩脈群,玄武岩枕状溶岩,遠洋性堆積物がこの順に下位から上位へ積み重なった数千mの厚さをもつ複合岩体のこと。一般にはこのような成層構造が乱れていることが多い。オフィオライトは現在の海洋地域の,地殻-上部マントル(海洋プレート)をつくる岩石の構成や構造とよく似ており,その断片と考えられている。つまり古い地質時代に,海嶺で形成された海洋プレートが拡大し陸と衝突した時,陸の上にのし上がった部分とみなされる。したがってその産状や分布から,過去における大陸と海洋の配置やその変遷などを解析することが可能であり,地殻の形成と運動史を解く一つの重要な鍵とみなされている。しかしすべてのオフィオライトが海嶺で形成された海洋プレートの断片であるという説には異論がある。キプロスのトルードス岩体は最も古くから研究がなされ,オフィオライトの典型とみなされていたが,皮肉にもこれが,島弧の下部で形成されたものではないかと言いだされた最初の例でもある。
執筆者:小松 正幸
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ophiolite
造山帯に産する苦鉄質~超苦鉄質の火成複合岩体に対する呼称。理想的には海洋地殻から最上部マントルにかけて,玄武岩質岩(枕状溶岩・シート状岩脈群)・斑れい岩・マントルかんらん岩の連続した層序をもつ(海洋地殻構成岩を覆うチャートなどの被覆層を含めることもある)。火成層序が完全なものは稀で,著しく不完全な場合はディスメンバード・オフィオライトと呼ばれる。起源は必ずしも中央海嶺軸部とは限らず,背弧や海洋性島弧などさまざまな構造場に由来し,火成活動を複数経験した場合もある。オマーンオフィオライトなど大きなものは幅数十km,総延長100kmに達し,造山運動によって受動的大陸縁の陸棚堆積物に衝上している。日本の夜久野や幌加内,北米西岸のジョセフィンオフィオライトなど,活動的大陸縁では付加体や高圧変成帯に衝上することが一般的。西アルプスのツェルマット・サース変成オフィオライトのように大陸衝突帯に先立つ沈み込みで超高圧変成作用を被ったものもある。
執筆者:辻森 樹
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… ウィルソンサイクルの考えの基本は,古生代またはそれ以前にもプレートテクトニクスは成り立つとする点にある。古生代以前の証拠は海底には残されていない(サブダクション帯から沈んで消滅してしまった)ので,陸上にみられる過去のプレート境界(縫合帯suture zone)と,それに沿って残っている古海洋岩石(オフィオライト)などの研究から過去のプレート運動の様相が復元されつつある。この手法によって,かつて地向斜とよばれていた場所のできごとを含めた多くの地質現象を統一的に説明することができる。…
※「オフィオライト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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