オークニー諸島(読み)オークニーショトウ(英語表記)Orkney Islands

翻訳|Orkney Islands

デジタル大辞泉 「オークニー諸島」の意味・読み・例文・類語

オークニー‐しょとう〔‐シヨタウ〕【オークニー諸島】

Orkneyスコットランド沖合約15キロメートルにある諸島。大小約70の島々からなる。新石器時代遺跡で知られ、中でも最大の島メーンランド島には代表的な遺跡が残されている。スカラブラエの集落跡、円墳メイズホウ、環状列石リングオブブロッガーストーンズオブステネスは、1999年「オークニー諸島の新石器時代遺跡中心地」として、世界遺産文化遺産)に登録された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オークニー諸島」の意味・わかりやすい解説

オークニー諸島
オークニーしょとう
Orkney Islands

イギリススコットランド北岸沖にある島群。単一自治体(カウンシルエリア council area)。行政府所在地カークウォール。旧オークニー県に属する。大小 70以上の島からなり,スコットランド本土からは幅 10~15kmのペントランド海峡によって隔てられる。島群は主島メーンランド(ポモナ島),北部諸島,南部諸島の 3群に大別される。砂岩石灰岩,火山岩などからなるが,氷河作用の影響を強く受け,全体にゆるやかに起伏する低い丘陵地帯となっており,肥沃漂礫土(ひょうれきど)に覆われたところが多い。主島には氷食湖も発達。主島はカークウォールのある地峡部を挟んでウェストメーンランドとイーストメーンランドに分けられ,イーストメーンランドは南のバレー島,サウスロンルドセー島と堤道で結ばれる。先史時代の遺跡が多く,特にウェストメーンランド西岸のスカラブレー遺跡は,ヨーロッパで最も完全な形で残された後期新石器時代の集落遺跡として,1999年周辺の遺跡とともに世界遺産の文化遺産に登録された。1世紀にはローマ艦隊がやって来たといわれ,8世紀末以降ノール人が侵入して植民し,15世紀まで支配を続けたが,スコットランド王ジェームズ3世の妃となったデンマーク王女マルグレーテの持参金の抵当流れかたちで,1472年にスコットランド領となった。主産業は農業で,外ヘブリディーズ諸島やシェトランド諸島などにみられる零細小作農経営とは異なり,大部分が自作農経営で機械化も進んでいるため,生産性が高く,スコットランド有数の農業地区として繁栄主産物肉牛と卵で,ブタと生乳の生産も大幅に増加している。北海油田の関連産業も重要。面積 990km2人口 1万9770(2006推計)。

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改訂新版 世界大百科事典 「オークニー諸島」の意味・わかりやすい解説

オークニー[諸島]
Orkney Islands

イギリス,スコットランド北東沖にある諸島。ローマ時代の呼称はオルカデスOrcades。約70の島からなり,総面積974km2,人口2万(2006)。本土とは最狭部で幅10kmのペントランド湾によって分離され,主島のメーンランド(ポモナ)島のほか,ホイ島,サンデー島,ウェストレー島など約20の島に住民がいる。ホイ島を除いて全般に低平で,肥沃な砂質ロームがおおい,また海洋性の温和な気候のため,集約的農業が営まれ,肉牛,鶏卵羊毛,大麦などを本土へ送り出す。漁業はエビが中心で,海草加工やウィスキー醸造もみられる。近年,北海のパイパー油田からのパイプラインが南部のフロッタ島まで建設され,石油基地となっている。諸島内にはイベリア系航海民による石器時代の遺跡もあるが,その後ピクト族が定住,875年から1231年まではノルウェー国王下のバイキング領主が支配した。のちデンマーク王の手をへて1472年にスコットランド領となり,1889年にオークニー州が創設された。州都はメーンランド島中央部のカークウォールKirkwallで,市内にはノルマン風のセント・マグヌス大聖堂がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オークニー諸島」の意味・わかりやすい解説

オークニー諸島
おーくにーしょとう
Orkney Islands

イギリス、スコットランド北東端沖合いに分布する約70の島々。本島とはペントランド海峡で隔てられる。スコットランドの一行政区画をなし、面積990平方キロメートル。人口は1万9245(2001)で減少傾向にあったが、近年、北海油田開発の一基地となり、人口はやや増から横ばいの状態である。沖合い油田からのパイプラインの終点の一つとなっている。最大の島はメーンランド島Mainland(ポモナ島Pomonaともいう。518平方キロメートル)で、ほかにおもな島としてはホイ島Hoy(137平方キロメートル)、サンデー島Sandayなどがある。デボン系の旧赤色砂岩によって構成される。最高点は南西部のホイ島のワード丘(145メートル)である。ホイ島を除き、低平で湿地が広がり、樹木はほとんどみられない。近年家畜(ウシ、ブタ、ニワトリ)の飼養が増え、漁業も盛んである。島々には先史時代の遺跡もあり、1468年まではノルウェー人の支配下にあった。

[小池一之]

『藪内芳彦著『島――その社会地理』(1972・朝倉書店)』

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世界大百科事典(旧版)内のオークニー諸島の言及

【イギリス】より

…こうした自然のため不毛地が広く,粗放的牧羊とエンバクの栽培がみられるにすぎない。またヘブリディーズ諸島など周辺島嶼も漁業と牧羊を中心とする過疎地域であったが,北海油田の開発に伴ってシェトランド諸島,オークニー諸島には原油基地が建設され,地域開発が推進されている。(2)中部 南北を断層線で画された低地帯で,スコットランドの政治・経済の中心地をなす。…

※「オークニー諸島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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