ドイツの劇作家。マグデブルクの商家に生まれ、商社員として南アメリカに行ったこともある。1917年『カレーの市民』の初演に大成功を収め、たちまち表現主義ドラマの第一人者となり、20年代の舞台を風靡(ふうび)する。生涯に七十数編の戯曲を残した多産家である。わが国では築地(つきじ)小劇場によって紹介された。その作品は戦争、資本主義体制、機械文明に対して鋭い批判を提起するが、彼の問題意識はおおむね社会的思想にまでは至らず、個人の倫理の領域に解消する。「頭脳遊戯者」の名のとおり、正確な計算に基づく緊迫した場面構成力と、「電文体」ともよばれた簡潔な文体を駆使した、まさに職人芸的作家である。彼の主知主義と批判精神は初期のブレヒトに影響を与えた。ナチスの時代に亡命し、スイスで不遇のうちに没す。ほかに『朝から夜中まで』(1916)、『平行』(1922)、『ガス』三部作(1918~20)など。
[吉安光徳]
『岩淵達治・近藤公一編『ドイツ表現主義3』(1971・河出書房新社)』
皇帝を意味するドイツ語。ラテン語のカエサルCaesarに由来する。国王の上にたつ広域世界の支配者をさし、オットー1世以降歴代の神聖ローマ皇帝がこの称号を用いた。1806年神聖ローマ帝国が滅んでから、ドイツでカイザーを称したのは、オーストリア皇帝と1871年以後のドイツ皇帝だけである(いずれも1918年まで)。なおわが国では、カイザー(カイゼル)はとくにドイツ帝国最後の皇帝ウィルヘルム2世をさすことも多い。
[木谷 勤]
ドイツ表現主義の劇作家。マクデブルクの商家に生まれ,南米に渡るが病をえて帰国,創作活動を始め,74の戯曲のほか小説,詩などを残した。作品にはストリンドベリ,ウェーデキント,シュテルンハイムらの影響が指摘される。旧約聖書の英雄的存在を性欲のとりことなる女に変身させた《ユダヤのやもめ》(1911)で頭角を現し,〈新しい人間〉を追求する反戦劇《カレーの市民》(1914)の発表によって国際的に名を知られるようになった。その後,第1次大戦の経験にもとづいて,既成の道徳や人間の脱個性化を風刺する問題作をつぎつぎと発表し,〈思考遊戯者Denkspieler〉と呼ばれた彼の独得な作風は,1920年代の舞台を席巻した。貨幣経済の非人間性を問う《朝から夜中まで》(1916)をはじめ,《ガス》二部作(1918,20),《ガッツ(避妊薬の名)》(1925)などは,日本でもいちはやく紹介されている。ナチス政権成立後は,作品の執筆,出版,上演を禁止され,スイスに亡命した。
執筆者:小島 康男
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「皇帝」を意味するドイツ語。ロシア語のツァーリと同じくローマのカエサルに由来する。初め神聖ローマ帝国皇帝の称号として用いられ,その崩壊後オーストリア皇帝,またドイツ帝国の皇帝に用いられた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…(2)caesarは本来ラテン語の家名でありながら,アウグストゥス以来皇帝を意味する称号となった。ここから,ゲルマン語では,たとえば現代ドイツ語のカイザーKaiserが,スラブ語でも,たとえば現代ロシア語のツァーリtsar’が生まれた。tsar’称号もまた,imperator称号と同じく中世でビザンティン帝国のbasileus称号と等置されたが,そのtsar’称号を,920年代にはブルガリア人シメオン1世が(先行ブルガリア人支配者の称号khan=汗にかわって),1346年の戴冠式にはセルビア人ステファン・ドゥシャンが(kralj称号にかえて),1547年の戴冠式にはロシア人イワン4世が(先行支配者たちが最初に帯びていたknyaz’(公)称号,のちに帯びるようになったvelikii knyaz’(大公)称号の代りに),それぞれとなえたのは,いずれも,ビザンティン帝国の標榜する世界皇帝理念に対するみずからの態度表明としてであった。…
※「カイザー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...
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