通常は分類によって立てられる部門を指すが,哲学用語としては,人がものを考え認識するにあたって必ず従わなければならない形式としての最も一般的な概念ないし分類語を意味する。〈範疇(はんちゆう)〉の訳語は《書経》洪範篇の〈洪範九疇〉(〈洪範〉は天地の大法,〈疇〉は田畑を区切るあぜ道)から取って,明治時代西欧哲学の移入時に作られた。原語であるギリシア語のkatēgoriaは,動詞katēgorein(kata~に対して,+agoreuein公の場で語る<agoraギリシア都市の公共広場)すなわち,糾弾する,告訴するに由来し,元来日常用語としては〈訴訟〉を意味した。個々の犯罪ないしその犯人を,たとえば殺人罪,窃盗罪など公の場で承認されうる普遍的な概念の下に包みこんで訴える,という本来の意味を生かして,アリストテレスは,この語を前述の意味の哲学の術語としてとり入れた。すなわち,彼は,カテゴリーをものの分類の最も普遍的な規定,すなわち最高類概念としてとらえ,具体的には,実体,量,性質,関係,場所,時間,位置,状態,能動,所動の10個をそれにあたるものとしてあげたのである。アリストテレスのこの考えは,ピタゴラス学派による有限・無限,奇・偶,一・多,左・右,男・女,動・静,直・曲,明・暗,善・悪,方・矩といったもののあり方ないし分類の基本となる対概念の列挙,さらにプラトンによる有,同,異,変化,持続などの基本概念をめぐる考察をうけて展開されたものであった。カテゴリーをめぐる考察は,この後,ストア学派での整理統合をへて,さらに中世のスコラ哲学においては,プラエディカメンタpraedicamentaの名のもとに,存在,一,真,善などより普遍的な超越概念transcendentaliaとのかかわりにおいて問い深められることになる。この時代までは,カテゴリーは,つねに何らかの形で,人間の認識の基本形式であるとともに,世界そのもののあり方の基本形式でもあるものとして考えられていたが,近代科学の登場とともに,それをもっぱら人間の認識の基本形式としてとらえ,自然の世界そのものもそれによって構成されるとする考えが登場してくる。カテゴリーを,人間の思考の最も一般的形式としての純粋悟性概念としてとらえ,判断の形式から4綱目12個のそれを導出整理するカントの行き方は,その一つの典型といえよう。以後,カテゴリーをふたたび世界のあり方そのものの形式に置きもどして考え,あるいは実践的規範をもそのうちに含めて考える行き方などがあいついで登場してくる。今日においては,日常言語の用法の検討にたちかえって人間と世界のかかわりをとらえ直す方向,いわゆる未開社会のそれをも含めた分類思考全般の基本構造の検討からする接近,数学の基礎構造からするあらためての接近等々,カテゴリーの問題への模索は,従来のせまい意味での哲学の枠をこえて,大幅にその前線を拡張してつづけられている。
→概念 →分類
執筆者:坂部 恵
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…グライドパスに対し上方が90Hz,下方が150Hzで変調されており,機上計器への変位指示はローカライザーと同様である。滑走路端におけるグライドパスの高さは最低50フィート(1フィートは約0.3m)を基準とし,その許容誤差は通常±10フィートだが,着陸のデシジョンハイト(最終決定高度,後出)が,200フィート未満のカテゴリーII,同じく100フィート未満のカテゴリーIIIの場合は許容誤差がそれぞれ+10フィート,-0フィートとなり,滑走路端において飛行機の車輪との間隙(かんげき)が確保されるようになっている。(3)マーカービーコンmarker beacon(単にマーカーともいう)は進入コース直下の定められた位置に設けられ,上方に向け特有の指向性変調電波(75MHz)を発射し,上空通過時に操縦室内の計器板上のライトの点灯および変調音で,パイロットに通過位置を知らせる。…
…この領域の研究では,現在の問題とどのような意味において類似している経験が重要なのか,また人間はどのような類似をもとにして類推を行うのかが研究されている。(3)言語とカテゴリー カテゴリーや言語は思考に対してきわめて大きな役割を果たす。たとえば,よくわからない水中の物体xが〈魚〉であることがわかったとすると,xは鰓呼吸をするだろう,卵生だろう,口のような栄養摂取をする部分があるだろう,などのさまざまな結論を導くことができる。…
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