(読み)ケン

デジタル大辞泉 「圏」の意味・読み・例文・類語

けん【圏】

周囲をかこった形。輪。
「主筆席の周囲に三、四人が―を作っていた」〈魯庵社会百面相
(接尾語的に用いて)一定範囲。「合格」「アジア
[類語]範囲領域領分縄張りテリトリー区画区域区間帯域境域ブロックエリアゾーン

けん【圏〔圈〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケン(漢)
限られた区域。「圏外圏内水圏首都圏大気圏北極圏
丸。輪。「圏点

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精選版 日本国語大辞典 「圏」の意味・読み・例文・類語

けん【圏】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 周囲をかこったところ。輪(わ)。まる。
    1. [初出の実例]「切った木口を御覧なさい。〈略〉仔細に検すると、其圏(ケン)と圏(ケン)との間は決して一様ではなく」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三)
  3. かこい。おり。〔漢書‐外戚伝・孝元馮昭儀〕

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普及版 字通 「圏」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)圈
人名用漢字 11画

[字音] ケン
[字訓] かこい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は卷(巻)(けん)。卷は巻曲、まるくかがめる形。〔説文〕六下に「畜をふの閑(をり)なり」とあり、木柵などをめぐらしたところをいう。その範囲を圏内、外を圏外という。杯は杯圏、句読として小点を施すことを圏点という。

[訓義]
1. かこい、ませ、おり。
2. さかい、しきりをする。
3. まるめる、まげもの。
4. ころばす、うつす。
5. 圏点。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕圈 世(せき) 〔名義抄〕圈 コハシ・ハナツラ・ヲリ・ハナツラヌク・コメカフ 〔立〕圈 コハシ・ヌク・ハナツラ・ツナツラ 〔字鏡集〕圈 カガマル・ニギル・サミス・サスエ・コブシ

[語系]
圈khiuanは卷・kiuanと声義近く、(拳)・giuanも同系の語。すべてまるくきこむ意がある。

[熟語]
圏囲・圏円・圏外・圏檻・圏曲・圏禁・圏溷・圏子・圏軸・圏守・圏出・圏心・圏声・圏癬・圏束・圏族・圏中・圏点・圏転・圏套・圏豚・圏内・圏発・圏閉・圏面・圏留・圏牢・圏・圏籠・圏和
[下接語]
気圏・水圏・大圏

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「圏」の意味・わかりやすい解説


けん
category

数学用語。訳さずに「カテゴリー」と使うこともある。ある特定数学的構造を考える際,その構造をもった集合と,その構造に適合した写像との双方を考えたほうがよい。たとえば,位相構造なら位相空間連続写像,線形構造なら線形空間線形写像,ただの集合の場合なら集合と関数,というようにである。このとき,前者を対象,後者を射 (型射という訳もある) と呼び,対象と射を総称して圏という。ここで,対象 X から Y への射 f のように,図式 (ダイヤグラム) で表わし,こうした図式で構造を処理していく。対象 X 自体も,X から X への恒等写像と同一視できるので,圏で処理するときは,対象よりはむしろ射が中心になる。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【圏構造】より

…圏または圏域とは地理学の学術用語として用いられる地域とほぼ同じ意味で,全体として一体性をもつ空間をいう。その一体性は,圏域の構成部分がなんらかの共通性をもつか,またはなんらかの中心に対して相互に結び合わさっているかによる。…

※「圏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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