翻訳|camouflage
軍隊,兵器,施設,工事などが敵に発見されないようにするために,あるいは軍事的に価値のないものを重要な軍事目標であるかのように見せかけるために用いられる手段,方法であって,偽装ともいう。カムフラージュには目標を偽装用のシートで覆って隠したり,目だたない色と模様の迷彩を施し,背景と調和させて見分けられないようにしたり,その外観をまったく変えてしまうように変装するなどの方法がある。目標が敵に発見されるきっかけとして,その形状,影,色彩,表面からの反射,動きなどがあり,カムフラージュのためには,これらの性質をうまく利用し,敵に気づかれないようにする。敵の目,探知用センサーなどの破壊あるいは妨害はカムフラージュに含まれない。第2次世界大戦では,航空機による爆撃が広域にわたり本格的に行われ,爆撃による損害が大きくなったため,直接戦闘を行っている前線だけでなく,後方の広い地域にまで組織的な偽装が行われるようになった。兵器,施設などに迷彩を施すだけでなく,偽の大砲,航空機,飛行場,都市などをあたかも実在するもののように思わせるため,大規模な工事が実施された。近年,大陸間弾道ミサイル,巡航ミサイルなどが開発,装備され,遠く離れた場所から目標を正確に攻撃できるようになってきている。発見されないようにすることが生残りのための要件であって,カムフラージュはこれまで以上に重要になってきている。目標を発見する手段として,空中写真,レーダー,テレビカメラ,微光暗視装置,赤外線暗視装置などが使用されるようになったため,これらを航空機,人工衛星に搭載し,きわめて広い地域を高い精度で偵察できるようになった。カムフラージュの技術も偵察手段の発達に応じて進歩してきており,たとえば対赤外線用塗料,電波吸収材などが開発され,使用されるようになってきている。
執筆者:松村 史朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
第一次世界大戦から使われ始めた軍事用語。動物の保護色と同じく、敵の目や写真撮影から、味方の人員、兵器、施設、陣地、航空機、艦艇などの識別、動静の判定を困難にし、敵火による損害を防ぐための工作で、偽装(ぎそう)と迷彩(めいさい)の2種がある。偽装は、周囲の自然の状況や地形、地物にあわせて兵員や兵器に草や木の葉を装着させ、あるいは着色した偽装網をかぶせて全体像をぼかし、敵の目標となることを避ける方法。車両や地上にある航空機、陣地、補給物資などには大型の偽装網をかぶせ草木を装着するが、植物は変色するため人工の着色布片を取り付けた網が用いられる。太平洋戦線で日本軍がしばしば輸送船に樹木を装着して島に偽装したが、これは大規模な一例。
迷彩は、陸上では兵員に迷彩戦闘服を着せ、兵器には迷彩着色を施す。環境にあわせ、草原では緑、砂漠では褐色、熱帯では緑・黒・褐の混合、雪地では白色などを用いる。艦船では容量、速度、方向を誤判断させるため、不整形模様を側面や上面に描き、航空機では上面を不整形模様に、下面を空色に塗り、敵機からの識別を困難にする。これらに対し、人形や模型を使い、わざと目だたせる工作を逆カムフラージュという。近年、カラー写真、赤外線、レーダー、偵察衛星などの発達により、在来形の偽装、迷彩は効果を失いつつあるが、それらに対抗するための欺瞞(ぎまん)逆カムフラージュが発達しつつある。
[寺田近雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新