古代エジプトの、もっとも壮大な神殿群を収めた神域。上エジプトのルクソールの北方4キロメートルに位置する。神域は1辺約1.5キロメートルと、他辺約0.8キロメートルの長方形で、ここに紀元前2000年の第12王朝の2番目の王センウスレト1世から前2世紀のプトレマイオス8世に至る歴代の王が、神殿、塔門、彫像を建てた。中央にアメン神に捧(ささ)げた神殿群があり、その参入路には40頭のスフィンクスが並び、第1塔門は幅113メートル、奥行15メートル。その後ろに、神域の中でもっとも注目される第19王朝のセティ1世とラムセス2世が建てた大列柱ホールがある。102メートル×53メートルの長方形のこのホールは、134本の大列柱で屋根を支えている。中央部の12本はとくに大きく、高さは23メートル、円周は10.6メートルに達する。アメン神殿群の神域の北にモントゥ神に捧げた神殿群、南にムート神の神殿群がある。この神域のある古代都市テーベ(ルクソール)と墓地遺跡は1979年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[酒井傳六]
フランス西部、ブルターニュ地方のモルビアン県カルナック村にある、いわゆる巨石記念物の一種。新石器時代の終わりから青銅器時代の初めにかけて造営された遺跡である。遺跡は、長さ1メートルから6メートルに及ぶ巨大な自然石を、幅約100~百数十メートルの間に10~13個直立させて東西方向に列状に並べたもの。このような立石(アリニュマン)が3群に分かれて残されているが、短いものは長さ100メートル、長いものは1120メートルに及び、壮観を呈している。列状の立石の数は、全体で3000に近い。遺跡の一部には、立石を半円状に並べた遺構や、羨道(せんどう)墳とよばれる墳墓の石室なども残され、この場所が墓地として使われたことがあることを示している。しかし、主体となる立石群は、太陽崇拝と関係があると推定され、神殿ともよばれる。当時ヨーロッパの西部から北部にかけて、巨石を用いた記念物や墓などを営む風習が広まっていた。
[前田 潮]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…エジプトのテーベ近郊,ルクソル神殿より北東へ約3km,カルナックKarnakにあるイプト・イスウト(最も選ばれた場所)として知られる古代エジプト最大の神殿。中王朝期より(特に第18王朝初めより)2000年にもわたって,トトメス1世・2世・3世,ハトシェプスト,アメンヘテプ3世,ラメセス1世・2世・3世,プトレマイオス2世・3世,ティベリウスに至るまで,拡張,取壊し,修復を繰り返してきた。…
※「カルナック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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