日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーン(フランス)」の意味・わかりやすい解説
カーン(フランス)
かーん
Caen
フランス北西部、カルバドス県の県都。人口市域11万3987、大都市域19万9490(1999)、市域10万6260、大都市域19万8639(2015センサス)。パリの西北西223キロメートルに位置し、カーン平野の中心地で、オルヌ川に臨む。第二次世界大戦では、ノルマンディー上陸作戦により大損害を受けたが、復興が早く、しかも旧市街にある歴史的建造物は戦災から免れた。控訴院、大学(15世紀創立)、サン・ピエール教会(11~16世紀)、大修道院などがある。ノルマンディーの海岸(セーヌ湾)から15キロメートル内陸に入った所にあるが、海岸とはオルヌ運河によって結ばれているため港があり、貿易が盛んである。周辺地域で鉄鉱石を産し、その輸出が行われる。第二次世界大戦後、工業化の進展が著しく、製鉄、セメント、自動車、電気、電子工業がその中心であり、郊外に工場が立地している。
エルビル・サン・クレールのニュータウンを含めて大都市域が拡大し、ノルマンディー地方のなかで、セーヌ川低地流域を除けば最大の都市域に成長した。フランス革命時にはジロンド派の拠点となった。
[高橋伸夫]