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キメラ chimera; chimaera

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

キメラ
chimera; chimaera

生物学で,同一個体中に遺伝子型の違う組織が互いに接して存在する現象をいい,動物ではモザイクとも呼ばれ,昆虫にみられるような雌雄型の入り交ったものは雌雄モザイク gynandromorphという。キメラとは,もともとギリシア神話に出てくる仮想の動物の名で (→キマイラ ) ,頭がライオン,胴,尾にもそれぞれヒツジ,ヘビの頭をもち,火を吐く雌の怪獣であったという。植物でキメラをつくるには,まず接木 (つぎき) を行い,接木部でそれを切断して,そこから新芽を生じさせ,その芽の中に接穂に由来した組織と台木に由来した組織とが混在されるようにする。混在の仕方が周辺部と内部とで異なるものを周辺キメラ,左右で異なるものを区分キメラという。斑入り葉も一種のキメラで体細胞突然変異によって生じたものと考えられる。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

キメラ

遺伝子の異なる細胞を一つの体にあわせもつ生物。ギリシャ神話に登場するライオンの頭、ヤギの胴、ヘビの尾を持った怪獣に由来する。遺伝子が混じりあってできる雑種とは異なる。例えばオスのロバとメスのウマの交配から生まれるラバは、両方の遺伝子が混じりあった雑種で、キメラではない。

(2017-02-23 朝日新聞 朝刊 科学1)

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デジタル大辞泉の解説

キメラ(chimera)

ライオンの頭、蛇の尾、ヤギの胴をもち、口から火を吐くというギリシャ神話の怪獣。キマイラ。
生物学で、異なる遺伝子型の細胞が共存している状態の一個体。植物では接ぎ木したものにみられ、動物では異系統の発生初期のを融合させて作った人工キメラマウスなどがある。

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百科事典マイペディアの解説

キメラ

本来は,ライオンの頭,ヤギの胴,ヘビの尾をもつ,ギリシア神話の怪物キマイラのこと。生物学用語としては,これにちなんで,異なった遺伝子型または種の細胞から構成された生物個体をいう。最初は植物の接木の際に生じる新しい芽からできる植物体を指したが,のちに動物にも適用されるようになった。脊椎動物の成体では免疫反応があるため放射線照射等の処置を行わないとキメラを作れないが,若い胚では拒絶反応がないためキメラを作りやすい。現在ではキメラマウスなどが作られ,免疫学・発生学のほか多方面の研究に用いられている。なお体細胞突然変異によって異なった遺伝子型の細胞で個体が構成される場合はモザイクと呼んで区別する。

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栄養・生化学辞典の解説

キメラ

 複数の受精卵からできた体細胞から構成される単一個体.組織を移植した動物の個体などが例.モザイクは単一の受精卵から発生し,遺伝子構成が異なる細胞からなる個体で,キメラとは区別される.

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世界大百科事典 第2版の解説

キメラ【chimera】

ギリシア神話にでてくるライオンの頭とヤギの胴とヘビの尾をもつ怪物キマイラの名にちなむもので,1916年にウィンクラーH.Winklerがトマトとイヌホオズキの間で実験的に作りだした接木体をキメラと呼んで以来,生物学上の術語となった。生物学ではキメラとは親が三つ以上(つまり両親のほかにもう一つ以上親が必要)あり,二つ以上の遺伝的に異なった細胞から成る生物個体を指す。 植物でキメラを作るには,ふつう接木が用いられる。

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大辞林 第三版の解説

キメラ【Chimera; Khimaira】

ギリシャ神話で、ライオンの頭・ヤギの胴・ヘビの尾をもち口から火を吐く怪獣。キマイラ。
にちなむ〕 生物の一個体内に同種あるいは異種の別個体の組織が隣り合って存在する現象。また、その個体。接ぎ木の癒着部位の芽など。また動物では若い胚はいを融合させてから育てたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

キメラ
きめら
chimera

生物学で、同一個体のなかに遺伝子型の異なる組織が互いに接触して存在する現象をいう。とくに植物について用い、動物の場合はモザイクということが多い。キメラの語源はギリシア神話に登場する合成怪物キマイラChimairaによる。
 植物でキメラをつくらせるには、異種の植物間で接木(つぎき)を行ってから、接木の部分でこれを切断し、そこから幼芽を出させる。そうすると芽の中に、接穂(ほ)(接ぐほうの芽や枝など)に由来する組織と台木(だいぎ)(接がれる根のほう)に由来する組織が混在するキメラが生ずる。混在の仕方はさまざまで、一方の組織が軸の中心部までくさび状に入り込んでいる区分キメラ、軸を取り巻く周辺組織にだけ一方の組織が存在する周縁キメラ、あるいはその両方が組み合わさった周縁区分キメラなどがある。実験的には、トマトとイヌホオズキの間でつくられた種々のキメラがある。
 遺伝子型の質的違いによるキメラのほか、染色体数の相違によるキメラがあり、染色体キメラあるいは混数性などとよばれる。染色体キメラはコルヒチン(アルカロイドの一種)処理によって人工的につくることができる。
 広義には、斑(ふ)入りや枝がわり(芽条突然変異)もキメラの一種で、実用価値の高い品種が得られる。[吉田精一]

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世界大百科事典内のキメラの言及

【栄養雑種】より

…接木によって台木が接穂の形質に影響をおよぼす接木雑種graft hybridを指すことが多い。接木雑種は子孫にまで遺伝質の変化が伝わる場合と,接木を行った世代だけに両親の影響が現れるキメラの場合とがある。キメラでも栄養繁殖させれば,栄養系が増えていくだけなので,たくさんの栄養系の個体群に両親の影響を維持させることができる。…

※「キメラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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