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イギリスの20世紀前半の社会学界を代表する学者。ロンドン大学でホッブハウスの教えを受け、その学統を継いだ。学会誌の編集に活躍し、イギリス社会学会会長、国際社会学会連合副会長を務め、1955年(昭和30)には来日して東京、京都、仙台の諸大学で講演を行った。社会関係の限定された特殊な側面を扱う特殊科学としての形式社会学を否定し、社会における人間の生活全体の一般的諸条件を対象とする総合社会学を提唱した。しかし、それはかつての百科全書的な総合社会学への逆行ではなく、歴史学、社会人類学、社会心理学などの成果も踏まえて、社会生活の諸構成要素間の相互作用の性質を可能な限り実証的な手法を用いて分析し、それによって全体社会を解釈しようとした。思想的にはラスキ、マッキーバーの多元的国家観を踏襲し、人間性の内の合理性と非合理性の葛藤(かっとう)を管理統御して、自由と福祉の増進を目ざす自由主義的ヒューマニストである。主著に『社会学』(1934)がある。
[杉 政孝]
アメリカの詩人。ロシア系移民の子としてニュー・ジャージー州に生まれる。コロンビア大学在学中に、母親ナオミの知的障害のため一時精神の不安にみまわれる。1948年夏、ニューヨークのアパートでブレイクの詩を読んで以来、幻想的な傾向が強い詩作にふけった。郷里パターソンの先輩詩人W・C・ウィリアムズの忠告をいれて、もっと現実に根ざした詩を志向し、1955年にサンフランシスコに赴き、アメリカ社会の悲惨とビジョンとの葛藤(かっとう)を歌い上げた長詩『吠(ほ)える』(1956)を書いて、ビート世代の指導者的存在となった。以来、ベトナム反戦の運動に携わるなど、絶えず社会の関心の的となる行動をした。詩集『アメリカの没落』(1972)にその政治的側面がよくみられる。しかし本質的には、母親の死を悼んだ『カディッシ』(1961)にうかがえるように、宗教的な予言者詩人で、ホイットマンに似た相貌(そうぼう)を呈している。1988年に来日し、講演と朗読を行った。
[新倉俊一]
『諏訪優著『ビート・ジェネレーション』(紀伊國屋新書)』▽『諏訪優訳編『ギンズバーグ詩集』増補改訂版(1991・思潮社)』
アメリカの詩人。移民したロシア人を母にもつユダヤ系の詩人で,コロンビア大学を卒業後,サンフランシスコに放浪してG.スナイダーやL.ファリンゲッティたちと交わり,荒廃した世代を大胆に描いた散文的な詩集《吠える》(1956)で,一躍ビート・ジェネレーションの教祖となった。つづいて精神病院で死んだ母親ナオミのために感動的な鎮魂歌《カディッシ》(1960)を書く。幻想的な体験をもとめて麻薬を試み,1961年にはインドに赴いて修行したりしている。その帰途,日本に立ち寄り,スナイダーと禅を学び,京都~東京間の急行のなかで新しい自己覚醒を経験した。帰国後はマントラを唱えてデモの先頭に立ったり,社会的な意識の濃い作品を発表している。ベトナム戦争期に書かれた詩集《アメリカの没落》(1972)は,彼のホイットマン的な予言者詩人の風貌をよく伝えている。
執筆者:新倉 俊一
イギリスの社会学者。ロンドン大学でL.T.ホブハウスの教えをうけ,1914年ロンドン大学の哲学講師,29年師ホブハウスの没後に社会学教授,54年名誉教授となる。イギリス社会学会会長,国際社会学会連合副会長もつとめた。彼は社会を統合的にとらえることを目ざし,人間的相互作用,相互関係を,社会における人間の全生活を対象として把握しようとした。そのために心理学的立場から実証性を重んじ,比較と計測化を強調し,歴史的事実を抑えることを提示した。また,各分野の専門的研究との協力による総合社会学の必要性を説いた。著書に《社会学》(1934)などがある。
執筆者:高峰 慧
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…サンフランシスコ生れ。アレン・ギンズバーグとともに,いわゆるビート運動(ビート・ジェネレーション),およびそのライフスタイルの教祖的存在である。1956年から日本で臨済禅を合計8年近くも修行,ほかに真言密教,ヒンドゥー教,アメリカ・インディアンの神話にも通じ,影響を受けている。…
…語源的には1950年代に流行した〈ヒップスターhipster〉に由来し,当初は〈現代感覚に敏感な者〉〈本当のフィーリングをもった者〉といった意味であった。A.ギンズバーグが《吠える》(1956)の冒頭で〈天使の頭をしたヒップスターたち〉とうたい,またノーマン・メーラーが《ぼく自身のための広告》(1959)の中でヒップスターについて詳しく論じたときには,ヒップスターはすでにヒッピーに近い意味をもちはじめていた。メーラーによると,ヒップスターはビートニクbeatnik(ビート・ジェネレーション)と不可分の関係にあり,前者は下層階級からの,後者は中産階級からの〈はみ出し者〉を意味する。…
※「ギンズバーグ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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