クレタ文明(読み)クレタぶんめい(英語表記)Cretan civilization

精選版 日本国語大辞典 「クレタ文明」の意味・読み・例文・類語

クレタ‐ぶんめい【クレタ文明】

〘名〙 紀元前三〇〇〇年頃から紀元前一四〇〇年頃まで地中海クレタ島で栄えた文明エーゲ海青銅器文化の中・後期にあたる。流麗で多彩な陶器クノッソス宮殿壁画などが有名。オリエント文明影響が見られ、ギリシア文化の先がけをなす。ミノア文明

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デジタル大辞泉 「クレタ文明」の意味・読み・例文・類語

クレタ‐ぶんめい【クレタ文明】

前20世紀ごろから前14世紀ごろまで、クレタ島で栄えた文明。エーゲ文明の一中心であり、オリエント文明の影響下に発達した海洋文明で、ミケーネ文明に先行する。民族系統は不明。エバンズ調査により、クノッソス宮殿多数の陶器類が発掘された。ミノア文明。ミノス文明

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレタ文明」の意味・わかりやすい解説

クレタ文明
クレタぶんめい
Cretan civilization

エーゲ海域の文明のうちクレタ島を中心とするものをさす。ギリシア本土のヘラディック文明に対してミノア文明と呼ぶこともある。大別して前期 (前 30~22世紀) ,中期 (前 21~17世紀) ,後期 (前 16~12世紀) に分けられる。前期には金属器 (おもに銅) の使用が広がり,中期にはさまざまな用途の青銅器が普及し,クノッソス,フェイストス,マリアなどで最初の宮殿が建てられた。壁画も発達し,多彩のカマレス陶器が生産された。また中期末には,絵文字から発達した線状文字Aが使われるようになった。後期は,クレタ文明が最も栄えた時期である。現存するクノッソス宮殿の大部分はこの時期に造られた。前 15世紀前半頃,ギリシア本土の民族がクノッソスを征服し,線状文字Bを残した。この時期に,クレタ文明はギリシア本土,シリアエジプトを結ぶ海上貿易によって繁栄したが,前 14世紀以降は衰え,前 11世紀初めにドーリス人の侵入によって滅びた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「クレタ文明」の解説

クレタ文明
クレタぶんめい

エーゲ文明の前期(前3000 (ごろ) 〜前1500 (ごろ) )にクレタ島を中心に栄えた海洋的青銅器文明。ミノス(ミノア)文明ともいう
エジプト・メソポタミアの文明の影響も受け,前1600年ごろオリエント的な集権国家が成立,地中海交易で繁栄し,クノッソスなどに壮麗な王宮を建設した。これが伝説上のミノス王の海上帝国で,この文明の最盛期である。前1400年ごろには,ギリシア人がクレタ文明の主導権を握り,ギリシア本土でもこの文明の影響下にミケーネ文明が成立した。発掘された陶器・壁画などの美術品は,すぐれた物が多く,明るく写実的で繊細華麗な作風をもつ。また,独自の象形 (しようけい) 文字・線文字Aを残した。アカイア人の侵入によって衰退した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「クレタ文明」の解説

クレタ文明(クレタぶんめい)

クレタ島エーゲ文明。前3100~前2800年の新石器時代の住居が最初で,前2800~前2200年の初期青銅器時代にはアナトリアから新しく別の民族が入って都市を営み,同島の東部と中部が栄えた。前2200~前1600年の中期青銅器時代には,中部と南部が栄えて,王宮も営まれたが,東部は衰えた。前1600~前1150年の後期青銅器時代の前半にさらに文明が進んだが,前1400年頃王宮が破壊され,この文明は衰えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「クレタ文明」の意味・わかりやすい解説

クレタ文明 (クレタぶんめい)

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百科事典マイペディア 「クレタ文明」の意味・わかりやすい解説

クレタ文明【クレタぶんめい】

ミノス文明

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレタ文明」の意味・わかりやすい解説

クレタ文明
くれたぶんめい

エーゲ文明

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世界大百科事典(旧版)内のクレタ文明の言及

【エーゲ文明】より

…繁栄の途上に諸宮殿が同時に天災のために崩壊すると,直ちにより華麗に再建される。前1700年ころから始まるこの新宮殿時代は,クレタ文明と国力との絶頂期だ。3宮殿は依然文化と経済の中心ではあるが,クノッソスの王が全島を統一する。…

【ギリシア神話】より

…複雑な要素がからみ合い,長い歴史的過程を経て形成されたものである。インド・ヨーロッパ語族に属するギリシア人が,前2千年紀の初めに北方よりギリシアの地に入ってきたとき,その地中海世界にはすでに高度なクレタ文明が栄えていた。彼らはこの先進文明を吸収しつつ前15ないし前14世紀には独自の文化を築き上げた。…

【ミノス文明】より

…クレタ島に栄えたエーゲ文明を代表する文明。クレタ文明また一般にミノア文明ともいう。名称はクレタの伝説上の王名ミノスMinōsにちなむ。…

※「クレタ文明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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