コケ(苔)植物(読み)こけしょくぶつ

百科事典マイペディア 「コケ(苔)植物」の意味・わかりやすい解説

コケ(苔)植物【こけしょくぶつ】

蘚苔(せんたい)類ともいう。スギゴケヒカリゴケミズゴケなどの蘚類,ゼニゴケジャゴケなどの苔類,ツノゴケ類に大別され,世界に約2万種,日本に約2000種ある。海中以外はほとんど地球上どこにでも生育しており,熱帯雨林内では,多くの種類が樹幹,葉上,地上などをおおって蘚苔林を作り,一方,極地のツンドラ地帯にもミズゴケ類など多くのものがある。その一方,チャツボミゴケ(硫黄分の多い水湿地),イワマセンボンゴケ類(銅イオンを含む岩上)などのように限られた環境にのみ生育する種も多い。維管束をもたず,現生の陸上植物の中では最も原始的である。コケ類の一生は有性生殖と無性生殖が規則正しく行われ,はっきりした世代交代がみられる。ふつう見られるコケの植物体は有性世代の配偶体で,この上にフラスコ状の造卵器,紡錘体状の造精器をつける。精子は2本の鞭毛(べんもう)をもち,造卵器内の卵細胞と受精。受精卵は発達して,無性世代胞子体となり胞子嚢を作るが,独立栄養生活はできず,配偶体に寄生する。胞子嚢内の胞子母細胞は減数分裂を行って胞子となる。胞子は一般に風によって配布され,配偶体へと生長する。なお,モウセンゴケ,クラマゴケ,ウメノキゴケなどのように小型の顕花植物シダ地衣類などを含めて呼ぶこともある。
→関連項目隠花植物シダ(羊歯)植物遷移ツンドラ北極地方

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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