コンドライト(英語表記)chondrite

翻訳|chondrite

デジタル大辞泉 「コンドライト」の意味・読み・例文・類語

コンドライト(chondrite)

石質隕石のうち、コンドリュールとよばれる直径1ミリメートル程度の球状の粒を含むもの。発見された隕石の約85パーセントはこれに相当する。球顆きゅうか隕石。球粒隕石

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精選版 日本国語大辞典 「コンドライト」の意味・読み・例文・類語

コンドライト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] chondrite ) 隕石のうち、未分化隕石で、コンドルールという数ミリメートル程度の球状の石を含むもの。落下した隕石の大部分を占める。

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改訂新版 世界大百科事典 「コンドライト」の意味・わかりやすい解説

コンドライト
chondrite

0.05~5mmほどの大きさの球状物質(コンドルール。コンドリュールとも表記され,球粒という)を含む隕石。球粒隕石ともいう。コンドライトはその化学組成が,HやHeなどのガス成分を除けば,太陽の化学組成と類似しているために,太陽系形成初期の未分化物質と考えられている。放射性同位体による絶対年代も45.5億~46.5億年を与え,地球や月の岩石よりも古く,また他の隕石よりも古い年齢をもつ。これらのためにコンドライトは,惑星,衛星,隕石などを含む太陽系の始源物質とみなされている。

 コンドライトはその化学組成や構成鉱物の組成により,E,H,L,LLおよびCコンドライト(炭素質コンドライト)の五つの化学的グループに区分される。Eコンドライト中の鉄成分は,そのほとんどが金属鉄や硫化鉄として存在し,酸化鉄はきわめて少ない。そのために,Eコンドライト中のおもなケイ酸塩鉱物として産する輝石のFeO/(MgO+FeO)モル比は常に0.1以下である。このような輝石をエンスタタイトenstatiteといい,Eコンドライトと呼ばれるゆえんである。Cコンドライトでは金属鉄は一般に少なく,酸化鉄が多い。炭素質物質carbonaceous matterを含むのでCコンドライトといわれる。H,LおよびLLコンドライトは産出頻度が高いのでまとめてオーディナリーコンドライト(Oコンドライト)といわれる。Oコンドライトは金属鉄も酸化鉄も共にかなり含むのでEコンドライトよりは酸化的で,Cコンドライトよりは還元的雰囲気の状態で形成されたものと考えられている。

 以上五つの化学的グループのコンドライトはさらに,その熱変成度によってそれぞれ六つの岩石学的タイプに区分される。岩石学的タイプ1,2,3はほとんど熱変成作用を受けていないので,非平衡コンドライトと呼ばれ,岩石学的タイプ6は,高温で強く熱変成作用を受けたもので平衡コンドライトと呼ばれる。岩石学的タイプ4および5は,それらの中間である。

 非平衡コンドライトは一般にコンドルール,石質岩片,鉱物片,およびそれらの間をうめるマトリックスよりなる。Cコンドライトではこれらのほかに,CaOやAl2O3に富む包有物などを含んでいる。コンドルールはおもにケイ酸塩溶融体の液滴が高温状態から急冷されてできたものである。しかし,その液滴の成因については多くの説があり,どれも定説にいたってはいない。マトリックスは比較的低温(約400~500℃以下)で形成された細粒物質である。平衡コンドライトでは,強く変成作用を受けて再結晶を行ったために,コンドルールやマトリックスなどの識別が困難になっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンドライト」の意味・わかりやすい解説

コンドライト
chondrite

石質隕石のうち,コンドリュールを含む組織で特徴づけられるもの。エイコンドライトに対応する。落下が目撃された隕石・隕鉄のうち 85%以上を占め,隕石・隕鉄の主要な部分であると考えられる。コンドライトは主成分の化学組成・鉱物組成をもとに,さらに次の5つのグループに細分されている。 (1) エンスタタイト・コンドライト (E-コンドライト) ,(2) ブロンザイト・コンドライト (H-コンドライト) ,(3) ハイパーシン・コンドライト (L-コンドライト) ,(4) アンホテライト・コンドライト (LL-コンドライト) ,(5) 炭素質コンドライト (C-コンドライト) 。このうちH,L,LL-コンドライトの3つを合せて普通コンドライト (O-コンドライト) と呼ぶこともある。コンドライトは一般にケイ酸塩鉱物,特に橄欖石や輝石を主成分にするが,C-コンドライトはかなりの水や有機物を含む。C-コンドライトは水素,ヘリウム,窒素や他の希ガスなどの著しく揮発性の元素を除くと,ほとんどすべての元素について,太陽大気の元素組成とよく似ている。このことから原始太陽系の始源状態を保存して残している物質と考えられている。そこでコンドライトは太陽系形成の起源の鍵を握っている重要な物質として活発な研究が続けられているが,まだコンドライトやコンドリュールの起源についての定説はない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンドライト」の意味・わかりやすい解説

コンドライト
こんどらいと
chondrite

石質隕石(いんせき)のうち、コンドルールとよばれるミリメートル・サイズのケイ酸塩液滴を含む隕石の総称。別名球粒隕石。地球に落下する隕石の大部分(86%)を占める。その化学組成は、揮発性成分を除くと、太陽大気の化学組成に一致する。その形成時は45.5億年前であり、その後、現在に至るまで二次的に溶けた形跡がない。それゆえ、この隕石は原始太陽系星雲の中で最初に形成された微惑星の破片であると考えられている。

[小沼直樹]

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化学辞典 第2版 「コンドライト」の解説

コンドライト
コンドライト
chondrite

球粒組織をもつ石質いん石.落下いん石のうち83% を占める.コンドライトは約10重量% の金属相を含み,ケイ酸塩相中には直径0.3~1.0 mm 程度の丸い粒のものがある.ケイ酸塩相はかんらん石,斜方輝石,斜長石からなり,単斜輝石を欠く.ケイ酸塩相中のFeO/(MgO + FeO)比が大きくなると金属相が減少し,同時に金属相中のニッケル量が増加する.コンドライトは2群に大別され,鉄の多いH群と少ないL群に分けられる.H群に属するコンドライト中には多量の炭素を含むものがある(3.5%).このものは炭質コンドライトとよばれ,同時に多量の水を含み(20%),太陽系始原物質を代表しているという説もある.

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百科事典マイペディア 「コンドライト」の意味・わかりやすい解説

コンドライト

カンラン石や輝石からなる球状物質(コンドール,あるいはコンドリュールという)を含む石質隕石(いんせき)。地上に落下する隕石全体の80%を占める。鉄の含量と存在状態により幾つかのグループに分かれる。特に有機物の多いものを炭素質コンドライトという。組成が超塩基性岩に似ているので地球のマントルのモデルとして使われる。→隕石
→関連項目エコンドライト石質隕石

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世界大百科事典(旧版)内のコンドライトの言及

【隕石】より


[隕石の分類]
 ニッケルNi,鉄Feがいくら含まれていたかにより鉄隕石(隕鉄),石質隕石および石鉄隕石に大別される。石質隕石はさらに化学組成と組織により細分され,コンドルールとよばれる球状物質を含むか含まないかでコンドライトエコンドライトに分類される(図)。化学組成が原始太陽系の始原的物質に近いものは始原的隕石,溶融,固化などにより物理的・化学的に分離したものは分化した隕石といわれることがある。…

※「コンドライト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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