サーメット(英語表記)cermet

翻訳|cermet

デジタル大辞泉 「サーメット」の意味・読み・例文・類語

サーメット(cermet)

ceramic陶器)とmetal(金属)との合成語》金属の炭化物硼化ほうか物・酸化物窒化物などのセラミックと、ニッケルクロムコバルトなどの金属と合わせて焼き固めた材料。セ氏1000度以上の耐熱材として、ジェットエンジンや硬質工具などに使用

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精選版 日本国語大辞典 「サーメット」の意味・読み・例文・類語

サーメット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] cermet ) 金属の炭化物、硼化物、酸化物などと金属とをいっしょに焼結してつくった耐熱材料

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改訂新版 世界大百科事典 「サーメット」の意味・わかりやすい解説

サーメット
cermet

セラミックスと金属との複合材料で,セラミックスceramicsのcerと金属metalのmetとの複合語である。セラミックスの硬さ,耐熱性と金属の靱性(じんせい)という長所を組み合わせることを目的として作られたもので,元来は第2次大戦後ジェット機のタービン翼用に試みられた。現在は耐熱材料としてだけでなく,工具,耐食,耐摩耗,電気接点などを目的とした使い方がされている。セラミックスの種類によって酸化物サーメット炭化物サーメットホウ化物サーメット,窒化物サーメットなどと分類される。酸化物サーメットとしてはアルミナAl2O3にクロムCrやモリブデンMoなどの金属が複合されて作られたものがあり,高強度の耐熱材料として使われている。炭化チタンTiC,炭化タングステンWCなどの炭化物サーメットは,超硬加工工具として機械工業に重要な役割を果たしている。窒化チタンTiNを主成分とする窒化物サーメットは,硬さと耐摩耗性に優れているので工具や耐摩耗部品に使われるが,光沢が黄金色であるので腕時計のフレームなど装飾品としても使われている。導電性の酸化物である酸化カドミウムCdO,酸化亜鉛ZnO,酸化スズ(Ⅳ)SnO2などを含むサーメットは,接点材料として使われている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サーメット」の意味・わかりやすい解説

サーメット
さーめっと
cermet

セラミックスceramicsと金属metalの両者を含む耐熱材料。それぞれの頭3文字をとって命名されたもので、アメリカのバルガーA. L. Bergerがこの名を提案した(1949)。サーメットはスイスハウザーH. Hauserが1926年に初めて開発したとみられている。広範囲のセラミックス(酸化物と炭化物)および金属(鉄、クロム、モリブデンなど)の組合せで、セラミックスの耐火性と耐酸化性、金属の大きな熱衝撃抵抗性と引張り強度との特性を備えた材料の開発が目的であった。

 もっとも有効なサーメットは、TiC-Niサーメット(kentanium)、Al2O3/CrおよびAl2O3-Feサーメットである。サーメットの第一の用途は、ガスタービン翼およびその他の高温機械材料であるが、ムライト‐銅サーメットはブレーキ材として使用されている。製法としては焼結のほか含浸、積層、自己施釉(せゆう)などがある。

[素木洋一]

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化学辞典 第2版 「サーメット」の解説

サーメット
サーメット
cermet

セラミックス(ceramics)粉末を主成分とし,これに結合剤として金属(metal)の粉末を混合して加圧成形し,特殊ガスまたは真空中で加熱焼結したもの.セラミックスの“cer”と金属の“met”をつないでcermetと名づけられた.セラミックスとしては,金属酸化物,炭化物,窒化物,ホウ化物,およびケイ化物など,また金属としては,Ni,Cr,Co,Mo,W,およびこれらの合金が使用される.靭性は低いが,高温での耐食性や硬さが大きいので,ジェットエンジン排気管の被覆用や固体ロケットノズルなどの高温材料として,また超硬合金とセラミックスの中間的性能をもった工具材料として用いられる.ジェットエンジン用の例としては70質量% Al2O3-30質量% Crが1100 ℃ まで,またMoSi2・6Coが1200 ℃ まで使用可能であり,工具材料では80質量% TiC,10質量% Ni,10質量% Moが切削工具として超硬合金よりすぐれた切削性能を示すほか,高温金型,ロールガイド,弁座などに使用できるものもある.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サーメット」の意味・わかりやすい解説

サーメット
cermet

高硬度の金属炭化物,ホウ化物,窒化物,酸化物などを金属バインダーで結合してつくる一種の複合金属材料。英語名は陶器材 ceramicsと金属 metalの合成語。バインダー金属としてはコバルト,鉄,クロム,モリブデン,ニッケルなどの金属やその合金が用いられる。陶器材の耐熱性と金属の耐衝撃性,導電性をあわせもつ材料として開発された。高融点電気接点,耐摩耐熱材,耐食材,ジェット機部品,ロケット部品,原子炉材などに用いる研究が進められている。超硬合金と似ているが,使用目的が異なるので,一般に金属バインダーの量を多く (20~70%) して衝撃値を補う。オーストリアで開発された TiC系の WZ合金など種類が多い。製造法はすべて粉末冶金による。

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百科事典マイペディア 「サーメット」の意味・わかりやすい解説

サーメット

セラミックスと金属の複合材料で,サーメットcermetは,ceramicsとmetalの合成語。セラミックスのかたさや耐熱性と金属のねばり強さを組み合わせようとするもので,粉末冶金法によって作られる。使用温度1000℃以上を目的とし,セラミックスとしては金属の炭化物・ホウ化物・酸化物・窒化物が,金属としてはニッケル,コバルト,クロムなどやそれらの合金が用いられる。耐熱材のほか硬質の工具などに使用。
→関連項目ニューセラミックス

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世界大百科事典(旧版)内のサーメットの言及

【チタンカーバイド】より

…TiC粉末と結合用金属粉末にモリブデンMoまたはモリブデンカーバイドMo2Cを加えてつくったTiC基超硬合金は切削工具に用いられる。金属の酸化物や炭化物などをコバルトCo,ニッケルNiなどで結合した焼結体を一般にサーメットと呼ぶが,日本の工具関係者では,サーメット工具といえばこのTiC基の工具を指す。なおサーメットcermetとは,セラミックスceramicsと金属metalの英語から合成した語である。…

【抵抗材料】より

…これはきわめて安価ではあるが,合金のものと比較して雑音が一けた以上も多く,他の特性もかなり劣っている。このほかに,SnO2を主体とした金属酸化物,金属粉末とガラス粉末を有機物バインダーで固めたメタルグレーズ,タンタルなどの窒化物の薄膜,サーメットと呼ばれるCr‐SiO2のような金属と無機物の混合薄膜を材料としたものなど,多種類の抵抗材料がそれぞれの特徴を生かして使用されている。【七尾 進】。…

※「サーメット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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