シェルパ(読み)しぇるぱ(英語表記)sherpa

翻訳|sherpa

精選版 日本国語大辞典 「シェルパ」の意味・読み・例文・類語

シェルパ

〘名〙 (Sherpa)
ヒマラヤ地方に住む種族の名。特に、ヒマラヤ登山隊の荷揚げ案内人として名高い。
※白きたおやかな峰(1966)〈北杜夫〉三「彼らはつまりネパールでいうシェルパで、隊員と共に高所まで行動を共にし」
国際会議での首脳の補佐官。共同コミュニケ草案作成などに当たる。

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デジタル大辞泉 「シェルパ」の意味・読み・例文・類語

シェルパ(Sherpa)

チベット語で東の人の意》エベレスト南麓なんろく高地に住むチベット系ネパール人。農耕牧畜交易などに従事ヒマラヤ登山隊の案内人としても知られる。宗教はチベット仏教
サミット(首脳)を助けるところから》首脳会談で、各国首脳の代理として会談の準備、会議内容の根回しなどを担当する高級官僚。→サミット

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェルパ」の意味・わかりやすい解説

シェルパ
しぇるぱ
sherpa

ネパール・ヒマラヤの登山時に雇用される案内人。チベット語では「東の人」の意味。東部チベットにいた人々が18世紀中ごろヒマラヤを越えて南下、農業や牧畜を業とした。現在はエベレスト山南麓(なんろく)のソロクンブ地方を中心とする3000メートル以上の高所に住むチベット系ネパール人の総称であり、またカースト名でもある。宗教はチベット仏教(ラマ教)がおもで、性質は温順かつ明朗、高度順化に富む強健な体質から、各国の登山隊に初めはポーターporterとして雇用されたが、のちにポーターとは区別して登山の直接的な協力者として一躍有名になった。

 エベレストの初登頂者の一人テンジンTenzing Norgay(1914―86)や、日本のマナスル隊などに同行し、その後1961年大阪市立大学のランタン・リルン隊に同行中遭難死したガルツェンGyaltsen Norbu(1918―61)らは優秀なシェルパ頭(サーダー)であった。その後、シェルパ登山組合が組織され、雇用規定なども定められている。ネパールでのヒマラヤ登山やトレッキングでは、シェルパの協力が必要である。カラコルム方面ではシェルパは住んでいないのでハイポーターとよび、登山技術を必要としない低地のみのローポーターと区別している。

[徳久球雄]

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百科事典マイペディア 「シェルパ」の意味・わかりやすい解説

シェルパ

ヒマラヤ南部山岳地に居住するチベット系の人びと。ネパール東部のドゥド・コシ上流域沿いサガルマタ北部地区,ヘルムおよびトゥリシュリ峡谷がおもな分布地である。農耕・牧畜・交易生活を営む。ヒマラヤ登山のガイドやポーターとして知られており,テンジン(1953年ヒラリーとともにエベレスト(チョモランマ)初登頂),ガルツェン(1956年日本のマナスル隊に同行し初登頂)などは著名。
→関連項目ガイド強力登山ハントヒラリー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シェルパ」の意味・わかりやすい解説

シェルパ
Sherpa

エベレストなどのヒマラヤ登山で,隊の一員として荷物運搬,案内などを務める人。本来はネパール北東部のソロ・クーンブ地方に住むチベット系の一民族であるシェルパ族のことをさす。 20世紀に入りイギリス人によるシッキム・ヒマラヤやエベレスト登山が行なわれるようになると,チベット人とともに高所に強いシェルパ族がポーターとして登山隊に雇われる機会が生まれた。ほどなくポーターの束ね役 (サーダー) として広く活躍するようになり,シェルパの名はヒマラヤ登山隊に欠かせない存在として高所ポーターの代名詞となった。 1950年アンナプルナI峰のアンタルケイ,1953年エベレストのテンジン・ノルゲイ,1954年チョー・オユーのパサン・ダワ・ラマ,1956年マナスルのギャルツェン・ノルブなどは初登頂に大きく貢献した。

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知恵蔵mini 「シェルパ」の解説

シェルパ

ネパールの少数民族。人口は約15万人で、主にエベレスト南麓に面したネパール東部に住んでいる。1953年のエベレスト初登頂を始めとした外国人のヒマラヤ登山に際し、荷物運び(ポーター)として、また案内人(ガイド)として雇われるようになり、登頂の成功において重要な存在となった。そのため、登山全般における荷物運び・案内人のことをもシェルパと呼ぶようにもなっている。2014年4月18日、少なくともシェルパ13名が死亡したエベレスト登山史上最悪の雪崩事故が発生し、ネパール政府は遺族1人当たり4万ネパールルピー(約4万2000円)の補償金を支給すると発表。それに対しシェルパらは金額が少ないと反発し、同年の登山を中止することを決定した。

(2014-4-25)

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