強力(読み)ごうりき

日本大百科全書(ニッポニカ)「強力」の解説

強力
ごうりき

荷物を負って運搬する者のことをいう。現在はもっぱら、登山者の荷物を運びながら道案内をする者をさしている。しかし、より古い時代には、修験者(しゅげんじゃ)が各地を回る際、その供をして荷物を担いでいく者のことをいったらしい。鎌倉期以降、力者(りきしゃ)とよばれる人々が出てくるが、これは力仕事を業とするものである。その種類は非常に多く、「~力」として区別するようになっていった。たとえば、遠くへ手紙を届ける者は「脚力(きゃくりき)」と称している。「強力」もその一つとして生み出されたことばと推定されている。ただし、「強」は当て字のようで、かつては「合」の字があてられたとする説もある。仕事の性格上、単に力が強いというだけでなく、信頼感が要請されたから、その命名も外見だけの単純なものではなかったろう。なお、近年の強力はこれと直線的に連なるものではなく、中部山岳地帯の背負い運搬業者である歩荷(ぼっか)の仲間から出たものといわれている。

[胡桃沢勘司]

『「能と力者」(『定本柳田国男集7』所収・1962・筑摩書房)』『「明治大正史・世相篇」(『定本柳田国男集24』所収・1963・筑摩書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「強力」の解説

強力
ごうりき

山伏,修験者 (しゅげんじゃ) に従い,力役 (りょくえき) をつとめる従者の呼称。修験者が,その修行の場を山野に求め,長途の旅を続けたところから,その荷をかついでこれに従った者。中世になると社寺あるいは貴族に仕え,輿 (こし) をかつぐ下人をも強力と称した。現在では,登山者の荷物を運び,道案内をする者を強力と呼ぶが,これは日本の登山が,修験者の修行に始ることに由来する。 (→軽子 )

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デジタル大辞泉プラス「強力」の解説

強力(ごうりき)

酒造好適米品種のひとつ。鳥取県の渡邊信平が21種の在来品種から選抜したもの。鳥取県農業試験場で1915年に強力1号、強力2号を純系分離された。戦後に栽培されなくなったが、1985年ごろに県内の酒蔵らによって復活された。

強力(ごうりき)

麻宮騎亜の漫画『怪傑蒸気探偵団』、テレビアニメ『怪傑蒸気探偵団 TV(テレビ) ANIMATION SERIES』(1998-1999)に登場するオートマトン。身長5メートル、重量30トン。蒸気で可動。自律行動が可能。

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デジタル大辞泉「強力」の解説

ごう‐りき〔ガウ‐〕【強力/剛力】

[名・形動]
力が強いこと。また、そういう人や、そのさま。「―無双」
登山者の荷物を背負い道案内をする人。「富士山の―」
修験者に従って荷物を運ぶ下男。
「いかにこれなる―、まれとこそ」〈謡・安宅
[類語]赤帽ポーター

きょう‐りょく〔キヤウ‐〕【強力】

[名・形動]力や作用が強いこと。また、そのさま。ごうりき。「強力な味方」「運動を強力に推進する」
[派生]きょうりょくさ[名]
[類語]強い強大無敵最強力強い・勝負強い・屈強強豪強剛剛強一騎当千手ごわい精強多力強烈強勢パワフル強靭精鋭破竹の勢い手厳しい痛烈シビア厳しいきつい厳格厳重厳酷厳正冷厳峻厳しゅんげん峻烈しゅんれつ苛酷かこくこく鋭い激しい手ひどいこっぴどい辛辣しんらつすさまじい猛烈苛烈熾烈しれつ手強い

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精選版 日本国語大辞典「強力」の解説

きょう‐りょく キャウ‥【強力】

〘名〙
① (形動) 力や作用の強いこと。また、その力、そのさま。ごうりき。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「彼等は其強力を頼んで」 〔論衡‐効力〕
② 努力すること。〔荘子‐譲王〕

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百科事典マイペディア「強力」の解説

強力【ごうりき】

剛力とも記す。古くは修験(しゅげん)者や山伏などの荷を背負って霊山に登った従者のこと。現在では登山者の荷を背負って案内する人をいう。→シェルパぼっか

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世界大百科事典 第2版「強力」の解説

ごうりき【強力】

剛力とも書く。修験者,山伏などに従う下僕や召使のことで,荷を背負って山岳を歩いた。後には,霊山での登拝者の従者,荷を負って登山客の山案内をする人の意に変化した。立山では,中語(ちゆうご)と称し,登拝者は,山麓でこの人を頼み,その案内で山に登り,山中の各所で故事伝説を語り聞かせられつつ,山頂に至った。中語の本義は,神と人との間に立って,相互の意志を伝えあう媒介機能を果たすものを意味したと思われる。歩荷(ぼっか)【鈴木 正崇】

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普及版 字通「強力」の解説

【強力】きよう(きやう)りよく

つよい力。〔文子、精誠物以て相ひなるり、氣以て相ひ(せま)るり。故にの事は、智巧を以て爲すべからず。強力を以て致すべからず。

字通「強」の項目を見る

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