コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

シンクロトロン synchrotron

翻訳|synchrotron

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シンクロトロン
synchrotron

加速器の1種で,一定方向の磁場内におかれたドーナツ型真空容器内で円運動する荷電粒子高周波電場を加え,繰返し加速する装置。加速する粒子の種類によって陽子シンクロトロンと電子シンクロトロンがある。磁場内の荷電粒子の円運動の半径は粒子の運動量に比例し,磁束密度に反比例するので,磁場の強さを粒子の運動量が増加するに従って変化させ,粒子の円運動の半径を一定に保つ。円運動の周期は粒子の質量に比例し,磁束密度に反比例して変化するので,高周波電場の周期もこれと同期するよう変調する。ただし電子シンクロトロンでは,数 MeV以上で電子の運動量と質量とが比例するので,周波数変調は必要としない。この加速器で 10億 eV以上の高いエネルギーが得られる。 100億 eV以上の加速器はもっぱらこの型である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

シンクロトロン

粒子の周期的加速器の一つ。サイクロトロンシンクロサイクロトロンでは,粒子に一様な磁場を作用させて円形軌道を描かせるため,粒子が加速され速度を増すにつれ軌道半径が大きくなるので,中心部から周辺まで一様な磁場を作らねばならず巨大な電磁石を必要とする。そこで粒子の速度が増すにつれて磁場も強くしていけば,粒子の軌道半径を一定に保つことができ,したがって一定の円軌道に沿って磁場を作るだけでよく,中心部の磁場は不要になる。これにより巨大な1個の電磁石を作る必要はなくなり,また直径数百mもの大型円軌道を設けることもできる。これがシンクロトロンの原理で,1945年に米国のE.マクミランとソ連のV.ベクスレルが独立に発表。電子シンクロトロンでは,普通,初めベータトロンの方式で加速した後,サイクロトロンの方式に切り換え加速電極に高周波電圧を加えてさらに加速する。100億電子ボルト(10GeV)程度まで加速可能。陽子シンクロトロンでは,あらかじめ線形加速器で加速した陽子を円軌道に入れ磁場と加速用高周波電圧の両方を変化させながら加速する。最も巨大・強力な加速器で,米国のフェルミ研究所やスイスのセルン(CERN)にあるものは数百億電子ボルト(GeV)に達している。
→関連項目加速器(原子物理)放射光

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

シンクロトロン【synchrotron】

リング状に並べた電磁石(リング磁石)で荷電粒子を円形軌道上に拘束し,軌道の途中に置いた高周波空洞で加速する装置(図)。原理は,1945年にソ連のV.I.ベクスレルとアメリカのE.M.マクミランによってそれぞれ独立に考案された。加速する粒子によって電子シンクロトロン,陽子シンクロトロンなどと呼ばれる。加速を受けてもビーム軌道はつねに同じ場所を通るよう,磁場の強さと高周波の周波数を変えている。高周波加速では位相安定の原理が働き,理想値から多少ずれたエネルギーや加速位相の粒子も高周波との同期性を失わないので,これにより,磁場と加速周波数を適切に変化させれば,加速が自動的に進む(シンクロトロン加速の原理)。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

シンクロトロン【synchrotron】

加速器の一種。磁場の強さを増すとともに、高周波電場の周波数を変化させて、粒子の軌道半径を一定に保ちながら加速する。サイクロトロンでは到達することのできない高エネルギーまで電子または陽子を加速できる。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

世界大百科事典内のシンクロトロンの言及

【加速器】より

…コッククロフト=ウォルトンの装置ともいう)が実用化され,1932年にはこの装置で加速した陽子を用い,初めての人工的に加速した粒子による原子核破壊の実験に成功した(コッククロフト=ウォルトンの実験と呼ばれる)。45年ごろまでにはこのほか,バン・デ・グラーフ型加速器(1931),サイクロトロン(1930),線形加速器(1931ころ),ベータトロン(1940),シンクロトロン(1945)などの各種の加速器が考案され,これらが今日の加速器の基礎となったが,著しい進歩をもたらしたのは第2次世界大戦後急速に発達した電波工学,エレクトロニクス,真空技術,材料工学などである。加速器のエネルギーは6~7年に約10倍の割合で大きくなっており,シンクロサイクロトロンによってπ中間子が実験室で人工的に創生(1948)されて以来,大加速器を用いての新しい素粒子の発見が相次いでいる。…

【ストレージリング】より

…円形軌道をつくる磁場の強さを一定に保ち,高エネルギー粒子ビームを回しながらリング状の真空ダクトの中に貯蔵する形式のシンクロトロン。貯蔵時間は数時間から,長いものは数日にも及ぶ。…

※「シンクロトロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

シンクロトロンの関連キーワード県立九州シンクロトロン光研究センタージョセフ シュクロフスキー高エネルギー物理学研究所フォトン・ファクトリーフォトンファクトリーシンクロトロン放射光高エネルギー加速器サイクロトロン放射高エネルギー天文学シンクロトロン放射ストレージリングラン ウォルチェ重イオン加速器SPring8放射線発生装置J相対論的力学コスモトロン円形加速器蓄積リング

今日のキーワード

悪魔の証明

証明が非常に困難なものごとを表す比喩表現。古代ローマ法において所有権の帰属証明が極めて困難であったことから、この言葉が初めて用いられたとされている。現代においては、権利関係や消極的事実の証明に関する法...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

シンクロトロンの関連情報