シンチレーションを利用して放射線を計数する装置。放射線を受けた物質から発する光は蛍光と呼ばれるが,このうち,比較的短い持続時間をもつものはシンチレーションと呼ばれる。また,シンチレーションを生ずる物質はシンチレーターと呼ばれる。この装置の主要部分である検出部は,シンチレーターと光電子増倍管の組合せでできている。光電子増倍管は,一種の光検出器であり,シンチレーション光の入射によって発生する数個~1000個の電子を瞬時に増倍して106~108個の多数の電子を生じさせる。このため,放射線が検出部に入ると,光電子増倍管には比較的大きい信号パルス(持続時間の短い電気信号)が得られる。信号パルスの大きさは,シンチレーション光の強さに比例するので,その大きさから放射線のエネルギーを知ることができる。シンチレーターには,いろいろの化合物のものがあるが,これらは無機シンチレーターと有機シンチレーターに大別される。無機シンチレーターには,ヨウ化ナトリウム結晶,ヨウ化セシウム結晶などがあり,前者はγ線の測定に,後者はα線の測定によく用いられる。有機シンチレーターには,アントラセン結晶,プラスチックシンチレーター,液体シンチレーターなどがあり,β線や中性子線の測定によく用いられる。
執筆者:山下 幹雄
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