スティルプノメレン(読み)すてぃるぷのめれん(英語表記)stilpnomelane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スティルプノメレン」の意味・わかりやすい解説

スティルプノメレン
すてぃるぷのめれん
stilpnomelane

層状珪酸塩鉱物(けいさんえんこうぶつ)の一つで、ねじれた葉片状結晶の集合で産することが多い。外観は黒雲母(くろうんも)によく似ているため、肉眼での両者の区別はむずかしい。結晶片岩を構成する鉱物の一つとして多量に産する。緑簾(りょくれん)石、緑泥(りょくでい)石、石英などを伴うほか、しばしば磁鉄鉱赤鉄鉱黄鉄鉱からなる層状鉄鉱床中にもみられる。また変成層状マンガン鉱床からはマンガンに富むものが産する。そのほか、スカルンから方解石灰鉄ざくろ石などに伴って産する。日本では埼玉県長瀞(ながとろ)町付近、徳島県三好(みよし)市山城町小歩危(こぼけ)付近にりっぱなスティルプノメレン片岩がみられ、黒白の縞(しま)模様が美しい。そのため俗に虎岩(とらいわ)などといわれる。緑色系統のものは第一鉄を多く含み、褐色系統のものは第二鉄を多く含む。名称は、黒く輝くという意味のギリシア語に由来する。

松原 聰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スティルプノメレン」の意味・わかりやすい解説

スティルプノメレン
stilpnomelane

(K,Ca)0~1(Fe,Mg,Al)7~8Si8O23~24(OH)4・2~4H2O 。結晶構造上は,滑石に関係ある鉄に富むケイ酸塩らしく,化学式は未確定。化学組成は鉄に富む緑泥石に似ているが,酸化鉄に富むものと三酸化二鉄に富むものとがある。光学的性質は黒雲母とよく似ている。鉄鉱床に伴う鉱物として古くから知られていた。アメリカのスペリオル湖地方のわずかに変成した鉄鉱層では,主要な含鉄ケイ酸塩鉱物である。緑色片岩相藍閃石片岩相に属する低温の変成岩中にかなり普遍的に出現する。有名な埼玉県秩父郡長瀞の虎岩のトラの皮様の黒い縞の部分はスティルプノメレンである。

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