イギリスの女流小説家。エジンバラに生まれ、同地の長老教会派の女学校を卒業、中央アフリカで数年を過ごし、第二次世界大戦中は外務省の政治情報部に勤める。二つの詩の雑誌の編集に携わったあと、『オブザーバー』誌の短編小説コンクールに入選。長編『慰めるものたち』(1957)で文壇に認められ、以後ヒッチコックばりのスリラー仕立ての笑いに満ちたカトリック小説を次々に発表。代表作は、G・グリーンとE・ウォーの2人のカトリック系の先輩作家から激賞された『死を忘れるな』(1959)と、のちに映画化された『ミス・ブロウディの青春』(1962)であろうが、『マンデルバウム門』(1965)では政治的な主題にも挑んでいる。『運転席』(1970)、『邪魔をしないで』(1971)などでは笑いが乏しくなり、神による暗殺とでもいうべき不気味な設定で形而上(けいじじょう)的な恐怖に満ちた深淵(しんえん)を描くようになった。そして『乗取り』(1976)、『領土権』(1979)などでは、悪と、これに狡智(こうち)をもって対抗する者との二元的な図式が劇的に描かれている。
[出淵 博]
『深町真理子訳『運転席』(1972・早川書房)』▽『深町真理子訳『邪魔をしないで』(1981・早川書房)』▽『岡照雄訳『ミス・ブロウディの青春』(1973・筑摩書房)』▽『永川玲二訳『死を忘れるな』(1990・白水社)』
ベルギーの政治家。1932年労働党(1940年社会党と改称)の下院議員。1935年運輸相、1936年外相、1938~1939年初の労働党首相。1940年5月ドイツ軍の侵略とともにイギリスに亡命し、亡命政権の外相となった。戦後帰国して副首相兼外相、1946~1949年社会党単独内閣首相を務めたほか、1966年政界を引退するまで外相、首相を歴任した。国際的な政治家としても知られ、1945年第1回国連総会(ロンドン)議長、1948年ヨーロッパ経済協力機構(OEEC)議長、1952年ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)総会議長、さらに1956年ヨーロッパ経済共同体(EEC)条約起草委員会議長、1957年北大西洋条約機構(NATO(ナトー))第2代事務総長などの要職にあった。
[藤村瞬一]
イギリスの女流作家。エジンバラに生まれ,同地の女学校を出たのち中央アフリカに赴く。1938年結婚(のち離婚),1児の母。第2次大戦中は外務省政治情報部に勤務,51年商業主義的クリスマスを諷した短編で文壇に登場したが,貧窮と神経症とに苦しみ,53年ローマ・カトリックに改宗。長編《慰める人々》(1957)でようやく認められ,70歳以上の老人ばかりの孤独な世界を描いた《死を忘れるな》(1959),ロンドンの独身者たちのグロテスクな世界を描いた《独身者たち》(1960),故郷エジンバラの女学校を舞台に,生徒に生きがいを授けるのに夢中な老嬢を描いた《ミス・ブローディの青春》(1961。1969年映画化,1978年テレビ・ドラマ化)など,一見残酷とも思われる笑いと洞察を生かした秀作をやつぎばやに発表して文壇的地位を確立した。その後も《マンデルバウムの門》(1965),《運転席》(1970),《面会謝絶》(1971)などを発表。その簡潔な文体と着想の秀逸さは現代イギリス文学の白眉である。
執筆者:鈴木 建三
ベルギーの政治家。1932年労働党(1940年以後社会党と改称)から下院議員に選出され,以後引退するまでベルギーの内政・外交を指導した。ゼーラント内閣の運輸・逓信相(1935-36),外相(1936-37)として,ベルサイユ条約で放棄した伝統的な中立政策への復帰を推進し,続いて首相(1938-39),外相(1939),第2次大戦中,ロンドン亡命政権の外相兼労働相を歴任。戦後帰国し,外相(1944-46),社会党単独内閣首相(1946),外相(1946-47),第2次連立内閣(社会党,キリスト教社会党)首相(1947-49),外相(1954-58),ルフェーブル=スパーク内閣副首相兼外相(1961-65)を務め,66年引退。またこの間,第1回国連総会(ロンドン,1945)議長,ヨーロッパ会議議長(1949-51)などを歴任,第2次大戦後のベルギーの集団安全保障,ヨーロッパの統合に尽力した。
執筆者:栗原 福也
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1899~1972
ベルギーの政治家。第二次世界大戦中はロンドンに置かれた亡命政権の首相。戦後は外相から首相となり,国王レオポルド3世の復帰に反対。ヨーロッパ統合の推進役を務め,ヨーロッパ経済協力機構(OEEC)議長,北大西洋条約機構(NATO)の事務局長などを歴任した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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…ところが大気に加わる電位差が1mあたり5×105Vをこえると,この絶縁が破壊され(大気の電離破壊が起こり),火花がとんで,瞬間的に電流が流れる。この種の放電を火花放電,スパークとよぶ。自然が起こす火花放電が雷で,このとき放射される光が電光,稲妻,あるいは稲光lightningで,音が雷鳴thunderである。…
※「スパーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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